ドイツのTRCからのリシュー。アクィラは、ブロンド・オン・ブロンドを脱退したラルフ・デナーが中心となって、70年にロンドンで結成されたグループで、本作は70年にUKのRCAからリリースされた唯一のアルバム。メンバーは、ラルフ・デナー、マーティン・ウッドワード、ジョージ・リー、フィル・チャイルズ、ジェームス・スミスの5人編成で、プロデュースはニルヴァーナのパトリック・キャンベル・リオンズ。巷では、トライフルやウォルラス辺りとともに、シカゴ、ブラッド・スウェット&ティアーズ等に影響を受けたブラス・ロック系として紹介されることが多いようだが、基本的にはガリアードやブレインチャイルド辺りに近似する、サイケ色の強いジャズ・ロックという感じ。適度にキャッチーでフォーク・ロック調も交えた楽曲を、勢いのよいデナーのヴォーカルとリフがメインのギター、けっこう弾きまくりのチープなハモンド・オルガン、リード楽器的役割のサックス&フルートを中心に展開。アンダーグラウンド感もアシッドの香りもあるが、全体にカラっとした雰囲気でそれ程ブルージーさは感じられず、このトレブリーでギラギラしたサイケ感は、デナー在籍時のブロンド・オン・ブロンドにも通底する印象。全体に漂うサイケ、ジャズ・ロック、プログレの煮え切らないゴッタ煮感は、ある意味典型的なB級ブリティッシュ・ロック・サウンドで、少し荒さのある演奏も含めB級の捨て難さやカッコよさがあって、ディープなブリティッシュ愛好家はけっこう楽しめると思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Jazz Rock / Jewel-case CD(1994) / TRC/German)
Ralph Denyer(vo,g)
Martin Woodward(kbd)
George Lee(fl,sax)
Phil Childs(b,piano)
James Smith(ds,per)
Produced by Patrick Campbell-Lyons
収録曲目
1.Change Your Ways
2.How many More Times
3.While You Were Sleeping
4.We can make It If We Try
"The Aquila Suite" :
5.First Movement
6.Second Movement
7.Third Movement