国内のアルカンジェロから、82年の新宿JAMでのライヴ音源1曲をボーナスで加えての、21年新規リマスター&紙ジャケ仕様でのリシュー。多分初CD化。ピカレスク・オブ・ブレーメンは、岩手県釜石市出身の栃澤潤を中心とするグループというかユニットで、東京の大学に進学後77年頃から銀角やナイフ・エッジで活動、大学卒業後の82年にソロ・アルバム「Neo Conservatism」制作、その後ピカレスク・オブ・ブレーメン結成という流れらしい。本作は、84年に自主制作盤としてリリースされたファースト・アルバムで、ライナーは不思議音楽館の井上立人と井上マサヲ。メンバーは、ベース、ドラム、ヴァイオリン、ギズモトロン、ボーカル、プロデュース兼任の栃澤、木管、フルート、キーボードの西村聡子、ギターの中野秀俊の3人で、スリーヴの絵は中野。1人メタル調のわりと流暢なギター、ギズモトロン装着の厚いベース、装飾的な管楽器&キーボード、ピッチの甘いサイモン・ハウス的ヴィオリン、素人感満点のドラム&リズムボックスとボーカルなどなど、各パートの演奏レベルやテイストのミスマッチ加減が、ちょっと独特のインディーズ感に収斂するサウンド。ブラック・サバス風、キング・クリムゾン風、ジェネシス風、ラッシュ風などのリフやフレーズと、歌謡曲調のメロディアスなボーカル・ライン、プログレ調の煮えきらないアレンジ、ギターのメタル感の奇妙な組み合わせは、キテレツでダメダメだがその未整理なハミ出し感が面白い。少なくとも、当時の栃澤の頭の中はこのような屈折サイケ状態だったのかも知れず、全体に80年代の空気感も十分に伝わってきて、日本のプログレ系愛好家ならけっこう楽しめると思う。
アルカンジェロ盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Progressive/Symphonic,Hard,Psyche,Pops / Paper-Sleeve CD(2021 Re-master) / Arcangelo/Japan)
栃澤潤(b,ds,vln,gizzmo,vo)
西村聡子(woodwinds,fl,kbd)
中野秀俊(g)
Produced by 栃澤潤
収録曲目
1.Neon Stream
2.Black Rabbit
3.Sanctuary
4.赤い星の雨
5.Hand Made Loneliness
6 Agitator
7.Tempest Of Love
8.Sailor Song
bonus track(1982 live):
9.Circus