韓国のビッグ・ピンク・ミュージックから、23年新規リマスター&ペーパースリーヴでのリシュー。コーティング&見開き紙ジャケ仕様、国内のヴィヴィッド・サウンドが輸入盤にオビ・解説を付けた国内流通盤。ニトロ・ファンクションは、ジミ・ヘンドリックス&バンド・オブ・ジプシーズのベーシストだったビリー・コックスが70年に新たに結成したグループで、本作は71年にUKパイからリリースされた唯一のアルバム。メンバーは、コックス、女性ギタリストのシェール・ヴィネッジ、ドラムのロバート・ターラントのトリオ編成で、ほとんどの曲で入る女性ボーカルはクレジットはないがシェールと思われる。プロデュースはレラン・ロジャースで、スリーヴ・デザインはロジャー・ディーン。コックスの弾きまくるリード・ベースが中心だが、それに劣らず荒削りでサイケ感の強いブルージーなファズ・ギターと、意外と上手いソウルフルな女性ボーカルが目立っていて、主役はむしろコックスよりシェールなのかも知れない。全体としては、ファンク色のあるブルージー・サイケ・ハードといえなくもないのだが、ギラギラしたサイケ感とファンク色の強い楽曲が相俟って、何ともいえず垢抜けないゴッタ煮感十分で、さらに随所でジミヘンの著名フレースを使っていたり、「ユー・リアリー・ガット・ミー」等のカヴァーもやっていて、けっこう遊びながら楽しんでいる印象。このサイケ感はやはりジミヘンの流れなのだろうが、そのタイプとしては迫力に欠けていて、かといってファンクとして聴くには中途半端にサイケ&ハード過ぎてかなりB級感満点。とはいえ、シェールのギターとボーカル自体は素直にカッコいい演奏もあって、スリーヴのよさも含めて大目に見れば、ジミヘン愛好家やB級愛好家ならそれなりに楽しみ所もあるので、一度はチェックしてみてもいいかも知れない。
ヴィヴィッド盤/韓国プレス盤(Korean-pressing CD)
(Psyche/Blues,Funk,Soul,Hard / Paper-Sleeve CD(2024 '23Re-master) / Big Pink Music,Vivid/Korea,Japan)
Billy Cox(b)
Char Vinnedge(g)
Robert Tarrant(ds)
Producerd by Lelan Rogers
収録曲目
01.Message
02.42-70(Peace)
03.Touch Me
04.You Really Got Me
05.Portrait
06.Powerhouse
07.You Got A Hold On Me
08.Play Your Own Blues
09.Not My Time
10.Let Me Do What I Want To Do