国内のP・ヴァイン・レコードから、限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様、未発表曲3曲(04年シャドックス盤、23年ゲッセン盤と同じ)をボーナス収録、23年ゲッセン盤リマスター音源使用。ザ・フロウはニュー・ヨーク出身のグループで、ブルックリンのハイスクールの同級生だったピート・ファインとモンテ・ファーバーが、69年に結成したドランケン・ドッグを母体として、メンバー・チェンジを経て71年にグループ名を変えたようだ。本作は、72年に自主制作盤としてリリースされた唯一のアルバムと思われ、一説によると100枚限定のプライヴェート・プレスで、オリジナルLPはかなりのプレミアが付く著名コレクターズ・アイテムらしい。メンバーは、ファイン、ファーバー、スティーヴ・ステラーのトリオ編成で、プロデュースはポール・アルキアリー。サバス調のザクザクしたギターとゴリゴリでドライヴ感のあるベース、ドカスカで疾走系のドラムによる、ヘヴィなブルージー&サイケ・ハードを展開していて、ともかくも確信犯的なマリファナ&ドラッグ色満点。曲によってはアコースティック・ギターやSE、逆回転も交えたプログレ的展開もあって、全体にサイケ色が強くストレートなハード・ロックではないが、全体に漂うヘヴィネスと炸裂感は、例えばスピード・グルー&シンキ辺りに通じる印象。この線のサウンドとしては素直にカッコよく、自主制作盤としても十分水準以上の出来で、ドラマー(おそらく黒幕)にわざわざ「水パイプ」というクレジットを入れて、実際にキマった表情で水パイプを持ってる写真を裏スリーヴに載せたりもしていて、どう見てもジャンキー達だが演奏はわりとしっかりしている。サイケ&ハード・ロック愛好家なら問題なく楽しめるだろう好盤と思う。この後ファインは、74年にソロ・アルバム「オン・ア・デイ・オブ・クリスタリン・ソウト」を100枚限定プレスの自主制作盤でリリース、そちらもレア・アイテムとなる。
P・ヴァイン盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Psyche/Hard,Blues,Progressive / Paper-Sleeve CD(2023 Re-master) / P-Vine/Japan)
Pete Fine(g,vo,syn)
Monte Farber(b,vo)
Steve Starer(ds,waterpipe)
Produced by Paul Arkiary
収録曲目
01.It Swallowed The Sun/太陽を呑む
02.Searchin/探求
03.Funny Funkin Woman/おかしくニクイ女の子
04.Meditations/瞑想
05.Toccata/トッカータ ニ短調
06.Bijinkes/バイジンクス
07.Mousely/マウスリー
08.Troubadour Between Sets/狭間の吟遊詩人
09.Third Movement/第三楽章
10.Get Up & Smile/ゲット・アップ&スマイル
11.Sunday Night Randoms/日曜の夜の思いつき
12.I Saw A Dog/犬を見た
13.Insanity Creeping/忍び寄る狂気
bonus track(unreleased):
14.Things We Said Today/今日の誓い
15.Baghdad Express/バグダッド急行
16.Wynds/ウィンズ