UKのエソテリックから、70年の初出未発表音源3曲をボーナスで加えての、19年新規24ビット・リマスター&デジパックでのリシュー。音質はクリアで奥行きもあってよい。サード・イアー・バンドは、グレン・スウィニーとデイヴ・トムリンが60年代中期に結成していた、ジャイアント・サン・トロレイとハイドロゲン・ジューク・ボックスという2つのグループを母体として68年1月に結成され、その後独特のヒプノティック・ドローン・ミュージックを展開した、希有で素晴らしいグループ。本作は、72年にUKハーヴェストからリリースされたサード・アルバムで、ポランスキー監督の映画「マクベス」のサントラとして制作された作品。メンバーは、前作からのスウィニー、ポール・ミンスの2人に、新たにサイモン・ハウス(ex.ハイ・タイド,ホークウインド,etc)、ポール・バックマスター(ex.キティナス・アンサンブル,スフィンクター・アンサンブル,etc)、デニム・ブリッジスの3人を加えた5人編成で、アンドリュー・キングとバンドの共同プロデュース、スリーヴはロジャー・ディーン。前作リリース後コフとアーシュラが抜けて、代わりに70年の夏に一度ヘルプで参加した事があるバックマスターと、ギタリストのブリッジスが正式に加入、暫くは4人で活動していたが、71年秋の本作レコーディング直前にハウスが加入したという流れ。暗闇で何か妖しげなもの達が蠢いているような気色悪さと、中世トラッド的美しさが同居した、独特のダーク・ドローン・サウンドを展開していて、エレクトリック・ギターを使用してはいるものの、そのまま前2作の延長線上にある浮世離れした宙吊り感は満点。映画を観た人はわかるだろうが、灰色のどよ~んとした映画の雰囲気に見事にマッチングしていて、中世的古楽感と古代的呪術感を放つ文句なしの好盤と思う。尚、バンコウの息子フリーンスが劇中で唄う、美しいトラッド的ナンバー「フリーンス」のシーンでは、バックで演奏する彼等の姿が観れる。TESオビ・解説/人脈図付
輸入盤
(Psyche/Progressive,Experimental / Digi-Pack CD(2019 24bit Re-master) / Esoteric Recordings/UK)
Glen Sweeney(ds,per)
Paul Minns(oboe,rcdr)
Simon House(vln,syn)
Paul Buckmaster(cello,b,g)
Denim Bridges(g)
Produced by Andrew King & Third Ear Band
収録曲目
01.Overture/序曲~オーバーチュア
02.The Beach/浜辺にて
03.Lady Macbeth/レディー・マクベス
04.Inverness/インヴァネス:
a)Macbeth's Return/マクベスの帰還
b)The Preparation/準備
c)Fanfare/ファンファーレ
d)Duncan's Arrival/ダンカンの到着
05.The Banquit/宴にて
06.Dagger And Death/剣と死
07.a)At The Well/泉にて
07.b)The Princes' Escape/プリンセス・エスケープ
07.c)Coronation/戴冠式
07.d)Come Sealing Night/カム・シーリング・ナイト
08.Court Dance/宮廷の舞踏会
09.Fleance/フリーンス
10.Grooms' Dance/グルームズ・ダンス
11.Bear Baiting/ベア・ベイティング
12.a)Ambush/待ち伏せ
12.b)Banquo's Ghost/バンコウの霊
13.a)Going To Bed/ベッドへ
13.b)Blind Man's Buff/盲の息
13.c)Requiescant/死者への祈り
13.d)Sere And Yellow Leaf/枯れた黄色い葉
14.The Cauldron/大釜
15.Prophesies/予言
16.Wicca Way/ウイッカ・ウェイ
bonus track(Recorded at Trident Studio 5th December 1970):
17.Court Dance/宮廷の舞踏会 (first version)
18.Grooms' Dance/グルームズ・ダンス (first version)
19.Fleance/フリーンス (first version)