ドイツのMG.アート(マニュエル・ゲッチング・アート)から、ゲッチング本人による11年新規リマスターでのリシュー。音質はクリアで迫力もあってよい。アシュ・ラ・テンペルは、当時まだ17歳のマニュエル・ゲッチングとハルトムート・エンケが、69年にベルリンで結成したスティープル・チェイス・ブルース・バンドを母体として、タンジェリン・ドリームを脱退したクラウス・シュルツェの加入を期に音楽性が変化し、70年に新たに名前を変えてスタートしたグループ。本作は、71年にドイツのオールからリリースされたファースト・アルバムで、メンバ-は、ゲッチング、エンケ、シュルツェのトリオ編成、プロデュースはジェームス・マックリフ。ある意味グルグルの「UFO」やタンジェリン・ドリームの「エレクトロニック・メディテイション」と肩を並べる、ヘヴィ・エクスペリメンタル・インプロの極致のサウンド。多分全員何らかのアシッドをキメた状態での演奏と思われ、何かに取り憑かれたように3人で炸裂しまくるハードな1曲目、底知れぬ闇の奥から響いてくるようなオドロオドロしいエレクトロニクス・ドローン空間に、エコーの効いたギターやプリミティヴなパーカスがこだまする2曲目、どちらもまだ若い彼等の音楽に対する情熱が素直に感じられる。このカオティックさは、初期のグルグルやタンジェリンとは質は異なるが、手法や方向がとても近く、初期ジャーマン・サイケの典型的なサウンド・スタイルの1つという印象。ゲッチングとエンケはかなり好き勝手にやりっ放しの感じだが、その中でも少し年上のシュルツェはちゃんとレスポンスしながら全体を引っ張っていて、そこがまた面白い。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Experimental,Progressive / Jewel-case CD (2011 Re-master) / MG.Art/German)
Manuel Gottsching(g,vo,electronics)
Hartmut Enke(b)
Klaus Schulze(ds,per,electronics)
Produced by James McRiff
収録曲目
1.Amboss
2.Traummashine