オーストリア/EUのヤンカ・インダストリーから、見開きデジスリーヴでのリリース。ブルーブルートは、オーストリア人ギタリスト兼エンジニアのクリス・ヤンカ(ex.ブレントヴェルク,トラフォ,etc)と、アメリカ人ドラマーのマーク・ホルブ(ex.レッド・ビブ,パーリンノイズ,etc)が、女性テルミン奏者のパメリア・スティックニーと13年にウィーンで結成したグループ。本作は、24年にリリースされたフィフス・アルバムで、メンバーは、ヤンカ、ホルブ、パメリアのトリオ編成が基本で、曲によってウィリー・ランディ、エルディス・ラ・ローザが適時ゲスト参加。『結成10周年を期して原点回帰を試みた集大成的なアルバム』との触れ込みだが、どの曲もわりと細部まで作曲されたアンサンブルを展開していて、従来の即興/インプロヴィゼイションを主軸としたサウンドとは少し趣を異にする。それが原点回帰なのかどうかは判らないが、ギスギスしたダーク感感や映像的な実験色は、例えばヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロ方面のど真ん中のRIO系チェンバー色を継承しているとも見て取れて、メロディやコードの宙吊り感や奇妙な音色のサンプリング・マテリアル&SE、完結しない場面転換や展開、煮え切らなさとノリのよさの同居などなど、結果ハミ出し感十分でかなり面白い。全体に、どこか人懐っこいユーモラスさがシリアスな演奏性に収束していくというか、盛り上がりと脱力の緩急が変テコだが濃密で、旧東欧のコマ撮人形映像のようなイモっぽいアングラ感も含め、ちょっと独特のアンサンブルを楽しめる好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Chamber Rock,Experimental,Post Rock / Digi-Sleeve CD(2024) / Janka.Industries/Austria,EU)
Pamelia Stickney(theremin,vo)
Chris Janka(g,loops,samples)
Mark Holub(ds,per,vo)
Willi Landi(vo)
Eldis la Rosa(per)
Produced by Unknown
収録曲目
1.Cocktail
2.Clarinot
3.Aumba
4.Arrobark
5.Tuna
6.Kaktusgetrank