ドイツのペイズリー・プレスから、24年新規リマスターでのリシュー。多分初CD化。アンナ・フェールヴ・トゥリアビェはスウェーデンのエレクトロニクス系デュオ・ユニットで、ミカエル・ボーイェンとインゲマール・ユングストレム(ex.コズミック・オーヴァードーズ,トゥワイス,ラグナロク,etc)によって76年に結成された。本作は、77年スウェーデンのサイレンスからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、前述のボーイェンとユングストレムの2人。日本でも某プログレ系雑誌等で70年代から紹介されていたので、このトム・ベンソンがデザインしたインパクト大のスリーヴを、もしかして憶えているリスナーも多いかも知れない。概ね、70年代前半期までのクラウス・シュルツやタンジェリン・ドリーム辺りの影響を受けた、いわゆるベルリン・スクール系エレクトロニクスを基調に、適時ギターやパーカスなども織り交ぜたサウンドを展開。オルガンとスペイシーなシンセを主軸としたエレクトロニクス感は、わりとモロにシュルツやタンジェリン近似だが、北欧トラッド色内包のエレキ・ギターや、シンプルでヒプノティックなパーカスの土着的空気感は、クラウト・ロック方面のサイケ感に収束していて、その意味では単なるエレクトロニクス系とは少し趣を異にする、ちょっと独特のプログレ感が担保されている。細部のフラグメントは動きがあって、それなりにメロディやコード、リズムの変化と場面転換もあるが、全体がダークなスペイシー感に埋没しつつ、結果としてドローン感に覆われていく印象。淡々とした物悲しい情感は、ダークではあるが暗過ぎず、流していて存外に心地好い好盤と思う。ともかくも、シュルツの「ブラック・ダンス」や「ムーンドーン」、タンジェリンの「フェードラ」や「ルビコン」辺りが好きな人はかなり楽しめるのでは。
輸入盤
(Psyche/Electronics,Progressive,Drone / Jewel-case CD(2024 Re-master) / Paisley Press/German)
Mikael Bojen(el-g,syn,kbd)
Ingemar Ljungstrom(syn,kbd,per)
Produced by Unknown
収録曲目
1.Mossen
2.Ankomster Utanfor Tiden
3.Den Barbariska Sondagen
4.Tusen Ar & Sju Timmar