ドイツのペイズリー・プレスから、20年リマスターでのリシュー。多分初CD化。ミシェル・ムリニエはアキテーヌ地方ロット=エ=ガロンヌ県ネラック出身のギタリスト兼マルチ奏者で、プログレ系リスナーには、アンジュのフランシス・デカンの79年ファースト・ソロ「Histoire De Fou」への参加で知られているかも知れない。本作は、78年にフランスのクリプトからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、12弦ギター、ベース、ギター・ヴァイオリンのムリニエによる1人多重レコーディングで、プロデュースはデカン。概ね、ギター・アンビエント方面というか、前述のクレジット楽器以外にも、エレキ&アコースティック・ギターやシンセも駆使した、ミニマル色やジャーマン・エレクトロニクス調スペイシー色内包のサウンドを展開。例えば、湿った質感のメランコリックな楽曲はアラン・マルクスフェル辺りに、コツコツとギター・アンサンブルを重ねていく内省的なプログレ感は70年代後半のポール・ブレット辺りに、サイケなスペイシー感はアキム・ライヒェル辺りに近似する印象で、洗練されたハウス方面へと繋がっていく同時期のアシュ・ラ辺りとはまた趣を異にする。リヴァーブやディレイを上手く使ったミニマル調アルベジオ&リフをバックに、装飾的なフラグメントも適時交えながら、淡い情感のメロディやギター・ソロが乗っかるスタイルが基本で、少し懐かしい手作り感のサウンドスケープも手伝って、流していてわりと素直に心地好い。日本ではあまり知名度はないかも知れないが、正しくサイケなギター・アンビエント・プログレ系の好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Ambient,Progressive,Drone / Jewel-case CD(2020 Re-master) / Paisley Press/German)
Michel Moulinie(12-g,b,g-vln)
Produced by Francis Decamps
収録曲目
1.Le ballet des mouches
2.Les cordes de la mer
3.L'echo de l'acier
4.Le Philtre d'Echordus
5.Lente course