アイルランドのオール・シヴァルから、デジパックでのリシュー。国内のディスク・ユニオンが輸入盤にオビ・解説を付けた国内流通盤(ライナーは藤井友行)。マイケル・オシェイはアイルランドのカーリングフォード育ちのバスカーで、72年にバングラディシュ独立戦争難民救済のNGO活動で赤痢に罹って、入院中にシタールの奏法を独学で習得、世界各地を放浪しながらバスキングを開始した。78年にフランスで知り合ったアルジェリア人バスカーの自作弦楽器にインスパイアされ、木製の箱型ボディに17本の金属弦を張り、プリ・アンプとフェイザーとエコーを一体化させたユニットを取り付けた、「モ・カラ」という自作弦楽器を製作した。本作は、82年にUKドーム・レコードからリリースされた唯一のアルバムで、ロンドンの地下鉄駅でバスキング中に、ロニー・スコッツ・クラブの関係者にスカウトされ、ラヴィ・シャンカールやドン・チェリーの前座を務めた後、ワイヤーのブルース・ギルバートとグレアム・ルイスがレコーディングを持ち掛けたという経緯で制作されている。全てオシェイ1人によるモ・カラ(1,2,4,5曲目)かギター(3曲目)の演奏で、ギルバートとルイスの共同プロデュース。モ・カラは、17本の弦を絵筆で叩き、前述のユニットで随時音色を変化させながら演奏するスタイルで、ケルティック・トラッド&アラビック調を内包したフレーズも相俟って、ハンマー・ダルシマやグロッケンシュピールにも通じる、哀しげで原初的な浮世離れした響きのサウンド。例えばララージ辺りに近似する印象もあって、空気の色と時間の流れが変わる、非常に正しくサイケな好盤と思う。
只今在庫切れとなってしまいました。ご予約オーダー・お問い合わせ等は、問い合わせフォームからお受けいたします。入荷見込み・時期など現在の状況を改めてお知らせいたします。
ディスク・ユニオン盤
(Psyche/Ambient,Drone,Celtic Trad / Digi-Pack CD(2019) / Disk Union,AllChival/Japan,Ireland)
Michael O'Shea(mo-cara,g)
Produced by Bruce Clifford Gilbert & Graham Lewis
収録曲目
1.No Journeys End
2.Kerry
3.Guitar No.1
4.Voices
5.Anfa Dasachtach