オーストリアのインフィニート・フォグ・プロダクションズから、23年新規リマスター&デジパックでのリシュー。クラウス・ヴィーゼはおそらくウルム出身のアンビエント&音響系アーティストで、プログレ系リアスナーには、何よりポポル・ヴーのサード「ホシアナマントラ」とフォース「聖なる賛美」のタンブーラ奏者として知られているかも知れない。60年代にアラブからインド、チベットへの放浪の旅で、イナヤット・カーンのインディック・スーフィズム(インド・イスラム神秘主義)教団の教義を吸収して以降、前述のポポル・ヴーも含め主にタンブーラやチベットのシンギング・ボウル奏者として活動、80年代から09年に他界するまでソロや数多の共演作品をリリースした、知る人ぞ知る音響系のビッグ・ネームの1人。本作は、87年にドイツのアクアマリン・フェアラークから自主制作カセット・テープ作品としてリリースされたアルバムで、当時「I」のほうが「II」よりも後にリリースされたようだ。メンバーは、「II」同様にシンギング・ボウル、シンバル、チター、タンブーラ、バード・コール、声、ドラム等を駆使した、全てヴィーゼ1人による制作で、おそらく「I」と「II」は同時期の音源を振り分けたものではないかと思われる。1曲目は「II」の1曲目、2,4曲目は「II」の2曲目の多分ヴァリエーションで、シンギング・ボウル、チター、低音ハミングを軸に、絶妙のリヴァーブ感のドローン・アンビエントを展開。もしかしてクレジットにはないオルガンも使っているのかも知れないが、一貫して遠くで鳴っている鳥の声が綺麗にハマっていて、どこかポポル・ヴー的な3曲目の小曲もアクセントを生んでいる。浮世離れしたスピリチュアル感十分の好盤と思う。ラスタ彩モチーフのスリーヴも素敵。
輸入盤
(Psyche/Drone,Ambient,Electronics / Digi-Pack CD(2023 Re-master) / Infinite Fog Productions/Austria)
Klaus Wiese(tibetan-singing-bowls,cymbal,zither,voice,ds,tambura,bird-call,field-recordings)
Produced by Unknown
収録曲目
1.Palace Of Mirrors I
2.Palace Of Mirrors II