UKのフッド・フェアーから、限定ペーパー・スリーヴでのリリース。紙ジャケ仕様、インナーバッグ入。ディーン・マクフィーはおそらくウェスト・ヨークシャー州ブラッドフォードドを拠点とするギタリストで、本作は21年にリリースされたソロ名義フォース・アルバム。ミニマル色を内包するアルペジオやリフ、フレーズをマルチ・レコーダーでループさせ、そこに新たなメロディやフレーズを重ねてアンサンブルを構築、曲によっては足踏みやバスドラでリズムも入れる、ワン・マン・バンド・スタイルでの演奏。概ね、北イングランド周辺のトラッドやブルースを基調とした、非常に静謐な空気感のギター・アンビエント調サウンドを展開していて、優しい音色のクリアーなギターがトラッド的郷愁感に収束。メロディやフレーズは、プログレ的哀愁十分だがしつこくはなく、儚く淡い浮遊感が担保されていて、リヴァーブ感もかなりいい塩梅。クリアー・トーンやリヴァーブ感、内省的で前に出ない感じの佇まいは、例えばデイヴ・デッパーの「ヨーロッパ」辺りにも近似する印象で、ともかくも流していて素直に心地好い。全体に、去りゆく諸々を慈しむようなゆったりとした情感が、美しいメロディの中に浮かんでは消える感じで、アグネス・ローレンス・ペルトンの絵「原初の翼」をあしらったスリーヴも含め、時間の流れと空気の色が変わる、優れて瞑想的な好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Progressive / Paper-Sleeve CD(2021) / Hood Faire/UK)
Dean McPhee(g)
Produced by Unknown
収録曲目
1.The Alchemist
2.The Alder Tree
3.Red Lebanese
4.Eskdale Path
5.Witch's Ladder