カナダのユニコーン・デジタルから、デジパックでのリリース。ケイオス・ムーンはおそらくケベック州モントリオールを拠点とするグループで、ベルナール・ウエレットとミシェル・キャロンが組んでいたムーン・プロジェクトというスタジオ・ユニットが、発展する形で85年に結成されている。ウエレットがヴィジブル・ウインドにゲスト参加していたことで、知っている人もいるかも知れない。本作は、24年にリリースされたサード・アルバムで、04年の前作「ザ・サークル・オブ・マッドネス」から20年振りの作品。メンバーは、ウエレット、エリック・ボネット、エリック・ポーテランスのトリオ編成を基本に、曲によってブノワ・シャプー、ジャン・フランソワ・ベロンジェ、ジャン・フランソワ・デジーレ等が適時ゲスト参加、プロデュースはウエレット。概ね、わりとど真ん中の正調シンフォニック・プログレ路線というか、何より少し頼りなげだったウエレットのボーカルが上手くなっていて、時折聴こえるゲストのアイリッシュ・ブズーキ、シタール、ニッケルハルパあたりの響きも、けっこういい塩梅のアクセントを生んでいる。ボーカル、ハモンド・オルガン&キーボード、ドラム、アコギ等々をマルチに熟すウエレットと、流暢なボネットのギターをを軸としたアンサンブルは素直にカッコよく、ポンプ・ロック以前の70,80年代懐古調内包のアレンジとキーボードの音色、わかりやすくメロディアスだがポップになり過ぎない楽曲のマッチングの妙も十分。例えば、イット・バイツ辺りに近からず遠からずの印象もあって、この線としてはけっこうな好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Pops / Digi-Pack CD(2024) / Unicorn Digital/Canada)
Bernard Ouellette(vo,org,12-g,cl-g,korean-banjo,kbd,ds,per)
Eric Bonnette(el-g,vo)
Eric Portelance(b)
Benoit Chaput(cl-g,irish-bzki,el-g)
Jean-Francois Belanger(nickelharpa,sitar)
Jean Francois Desilets(b)
Produced by Bernard Ouellette
収録曲目
1.Love Transfusion
2.Logger's Tale
3.Noisy Shoes
4.The Hatching
5.Miles Away
6.Fly
7.The King Of Dead Men Living
8.The Goldfish