UKのオーディオ・アーカイヴスから、未発表曲4曲をボーナスで加えての、99年新規リマスターでのリシュー。ニドロログは、双子のゴールドリング兄弟を中心に69年にロンドンで結成され、2枚の作品を残して解散した(00年に再結成している)グループで、この奇妙なバンド名はゴールドリングのアナグラム。本作は、72年にUKのRCAからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーはコリン&スチュワート・ゴールドリング、ピーター・カウリング、ナイジェル・ペグラムの4人編成、プロデュースはジョン・シュローダー。概ね、リコーダーやフルート、サックス等の管楽器を中心とした静のパートと、ギターとリズム隊が中心となる動のパートの対比によって構成された、ダーク&カオティック感の強い呪術的サイケ・プログレを展開。コリンのクセのあるハイトーン・ボーカルと独特なラインの饒舌なベースを軸に、くぐもった管楽器と乾いたギター、ニュアンスが前面に顕われたドラムが交叉するアンサンブルは、変拍子こそあまり出てこないが複雑なリズムがカオティックさを助長していて、全体にある種の中世的呪術感または暗黒感のような、深くて重い雰囲気が漂う。全体を覆う暗さがただならぬ感じというか、中世古楽色のこのような取込み方は新鮮で、常に不安げなメイン・テーマのメロディやリコーダー、フルートなどの、暗闇にふっと浮かぶ蝋燭の炎のような儚い音色や淡い美しさにハっとさせられたりする。若い4人の個性と情熱がある種の結実を見せた、愛すべきブリティッシュ・プログレサウンドと思う。ボーナスの4曲も、本編同様の風変わりなアート・ロック調プログレで面白かった。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Art Rock / Jewel-case CD(1999 Re-master) / Audio Archives/UK)
Colin Goldring(vo,g,rcdr,sax,horn,hmca)
Stewart Goldring(g,vo)
Peter Cowling(b,cello)
Nigel Pegrum(ds,fl,oboe,p)
Produced by John Schroeder
収録曲目
"Long Live Man Dead":
01.Long Live Man Dead
02.Skull
03.Peter
04.Snails
05.Time And Space
06.Who Spoke
"In Spite Of Narry's Toenail":
07.Goodbye-Farewell-Adieu
08.Harry's Toenail
bonus track:
09.Smokescreen (1969 IBC Studios, London)
10.Saga Of Smith And Smythe (1969 IBC Studios, London)
11.My Room (1971 Maida Vale Studios, London)
12.Saga Of Smith And Smythe (1971 Maida Vale Studios, London)