UKのミスター・ボンゴから、デジパックでのリシュー。パワー・オブ・ゼウスはミシガン州デトロイト出身のグループで、ジョー・ペリアノが中心となって68年に結成されている。結成当初はガングリーンのバンド名で地元のウッデン・ニッケル・クラブのハコバンとして活動していたが、モータウン傘下のレア・アース・レーベルのスカウターに見出され、レーベルとの契約の際にパワー・オブ・ゼウスに改名した。本作は、70年にUSAレア・アースからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、ペリアノ、デニー・ウェバー、ビル・ジョーンズ、ボブ・ミカルスキの4人編成、ラス&ラルフ・テラーナ兄弟の共同プロデュース。概ね、下品なキラー系ファズ・ギターを軸としたサイケ・ハード方面のサウンドを展開していて、キレのよいハモンド・オルガン、よく動くベース、パワフルなドラムも一体となって、ギラギラ感満点の炸裂を見せる。ソウル色やR&B色は、曲によって隠し味的にありやなしやという感じで、その意味ではレア・アース・レーベルの中では異端的というか、何故スカウトされたのかとも思うが、演奏の上等さやシャウト・ボーカルのハマりのよさ、ブルース基調の楽曲の整い方などは声がかかるに十分で、一つサイケ&ハード系の線にも手を出してみようということだったのかも知れない。時折聴こえるハープシコードやピアノ、ハーモニー・コーラスの使い方も上手く、ゴツゴツした質感とヘヴィな炸裂感が素直にカッコいい好盤と思う。サイケ&ハード系愛好家ならまずもって楽しめるのでは。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche Hard/Blues,Heavy Psyche / Digi-Pack CD(2019) / Mr Bongo/UK)
Joe Periano(g,vo)
Dennie Weber(org,hpcd,p)
Bill Jones(b,vo)
Bob Michalski(ds,vo)
Produced by Russ & Ralph Terrana
収録曲目
01.It Couldn't Be Me
02.In The Night
03.Green Grass & Clover
04.I Lost My Love
05.The Death Trip
06.No More
07.Uncertain Destination
08.Realization
09.Hard Working Man
10.The Sorcered Of Isis (The Ritual Of The Mole)