イタリアのアルトロックから、3面開きデジパックでのリリース。国内のベル・アンティーク/マーキーが輸入盤にオビ・解説を付けた国内流通盤。カマンベールはストラスブール出身のグループで、00年代後半に結成され09年に6曲入EPCDを1枚自主制作でリリース後、11年にアルトロックからファースト・アルバムをリリースした。本作は、17年にリリースされたセカンド・アルバムで、邦題は「ネガティヴ・トゥ」、ファーストから6年振りの作品。メンバーは、前作からのファブリス・トゥーサン、ベルトラン・エベール、ギョーム・グラヴラン、ピエール・ワウジニアクの4人に、新たにヴァランティン・メッツ、ジャコポ・コスタの6人編成が基本で、曲によって女性ボーカルや、フルート、オーボエ、サックス、バスーン等の管楽器、ウドゥ等のアフリカン・パーカスの他、ファーストのドラマーだったフィレモン・ワルテルがドラム・アレンジで適時ゲスト参加。前作から続く、『放射性チーズが弱点の宇宙からの謎の侵略者の攻撃』という、変テコでユーモラスなストーリーをモチーフとしたコンセプト・アルバムで、わりと端的にザッパ色の強いサウンドを展開。特に、「バーント・ウィニー・サンドイッチ」、「ワカ・ジャワカ」、「グランド・ワズー」、「ロキシー&エルスホエア」、「ワンサイズ・フイッツ・オール」辺りの、変拍子多用ゴッタ煮ジャズ・ロック的ザッパ感が基調という感じで、そこにゴングやカンタベリー・ロックのエッセンスも隠し味的に織り込まれている印象。4曲目以外は基本インストで、ヴィブラフォンやマリンバ、ハープ、管楽器をフロントに配置した演奏は非常にクールで上手く、ともかくもアンサンブルの濃密さは圧巻。とても複雑で難しいアレンジだが、流暢でノリのよいグルーヴを生み出すリズム隊も素晴らしい。かなりの好盤と思う。
マーキー盤
(Progressive/Jazz Rock,Canterbury / Jewel-case CD(2017) / Belle Antique,Altrock/Japan,Italy)
Fabrice Toussaint(vib,xyl,mrba,glocken,per,tb)
Bertrand Eber(tp,bugle,wsle,voice)
Guillaume Gravelin(harp)
Valentin Metz(g,b,effects,voice)
Pierre Wawrzyniak(b,ac-g)
Jacopo Costa(ds,voice)
Melanie Gerber(voice)
Emiliano Gavito(fl,piccolo)
David Bouchard(oboe,e-hrn)
Adam Starkie(clnt)
Mathieu Caro(bson)
Adrien Laborde(sax)
Thierry Ndinda(udu,nkul)
Philemon Walter(ds arrangement)
Produced by Unknown
収録曲目
1.Orteil Negatif (Dedicated To Charly But He Was Dancing): Once Upon A Time In The Galax-cheese
/ネガティヴ・トゥ: ギャラクシー・チーズの中で、昔むかし
2.Fecondee Par Un Extra-terrestre/エイリアンによる受精
3.Gros Bouquin/大きな本
4.The Lament Of Pr. Frankenschnorgl/フランケンシュノーグル教授の嘆き
5.Skwitch/スクウィッチ
6.El Pulpo/蛸