国内のベル・アンティーク/マーキーから、67年のザ・ストラディヴァリウスのシングル両面2曲をボーナスで加えての、SHM-CD&19年新規リマスター、限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様で、オリジナル・インナーバッグ入。レイモン・ヴァンサン(レイモンド・ヴィンセント)はブリュッセル出身のヴァイオリニストで、若くしてベルギー国立フィルハーモニー管弦楽団の第一ヴァイオリンを務めた名手。何よりプログレ愛好家には、管弦楽団在任中に結成したウォーレス・コレクションや、その後渡英して結成したエスペラントでの活動で知られていると思う。本作は、72年にフランスのイザラからリリースされたソロ名義唯一のアルバムで、フランスのバイヨンヌ(バスク)地方の著名リキュール、「イザラ」のプロモーション企画として制作されたものらしい。メンバーは、ヴァンサンと、クイーン・エリザベス・チャペルという弦楽四重奏団のみのクレジットだが、それ以外にワーテルローまたはパゾップがバックを担当したという資料もあって、時期的に可能性の高いほうのパゾップは、ディルク・ボガート、フランク・ヴュイツ、ジャッキー・マウアー、パトリック・コノー等々。クラシカルな室内楽的小曲から、ウォーレス・コレクション的ポップ・サイケ調、エスペラントやパゾップ方面に繋がるプログレ調まで、曲想はゴッタ煮感十分でわりととっ散らかった印象。全体のまとまりはないが、明らかにボガートと思われるボーカルやパゾップ的ナンバーはけっこう素直にカッコよく、ジャン・ミシェル・フォロン的なジョス・ゴファンのイラストを使った素敵なスリーヴも含め、それなりに楽しめてしまう好盤と思う。
マーキ-盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Progressive/Classic,Jazz Rock,Psyche /Paper-Sleeve SHM-CD(2019 Re-master) / Belle Antique/Japan)
Raymond Vincent(vln)
Queen Elisabeth Chapel(strings)
Dirk Bogaert(vo,fl)
Frank Wuyts(kbd,vo)
Patrick Cogneaux(b)
Jacky Mauer(ds)
& Unknown Others
Produced by Unknown
収録曲目
01.Blue Prayer For Cello In Love/ブルー・プレイヤー・フォー・チェロ・イン・ラヴ
02.La Danse Du Canard Sauvage/野鴨の踊り
03.Mouvement Pour Archet Suiv De/弓の動き
04.Mary Jane/メリー・ジェーン
05.Isabelle/イザベル
06.La Mouette/カモメ
07.Les Plutoniens/冥王星
08.Pouring Rain/土砂降りの雨
09.Adagio Pour Cordes/弦楽のためのアダージョ
10.Do It Now While You Can/ドゥ・イット・ナウ・ホワイル・ユー・キャン
11.I Ain't Got No Time/アイ・エイント・ゴット・ノー・タイム
bonus track(THE STRADIVARIUS 1967 single):
12.Walking In The Bach’s World/ウォーキング・イン・ザ・バッハズ・ワールド
13.Pictures Of The Girl I Loved/ピクチャーズ・オブ・ザ・ガール・アイ・ラヴド