国内のアルカンジェロからのリリース。曇ヶ原は池袋を拠点とするグループで、石垣翔大のギター弾語りが13年にバンド編成に発展、『日本語によるプログレッシブハードフォーク』を標榜して、16年にファースト「独言独笑」をリリースした。本作は、23年にリリースされたDVDで、23年スプリング・ツアーのファイナルとなった、4月8日秋葉原クラブ・グッドマンでのワンマン・コンサートを収録したライヴ映像。メンバーは石垣、ヴァイオラ伊藤(ex.痛郎)、a_kira(ex.マリア観音,J・A・シーザーと悪魔の家)、ム・JAPAN(ex.うしろ前さかさ族,Boris)の4人編成を基本に、旧メンバーのエンリケ後悔王子(ex.エミリー・ライクス・テニス,etc)と、佐野麻呂梨王(ex.小仏,etc)が曲によって適時ゲスト参加。ほとんどはこのメンバー4人で制作した21年セカンド「曇ヶ原」収録曲だが、「うさぎの涙」、「砂上の朝焼け」、「雪虫」は元々「独言独笑」、「3472-1」は17年マキシ・シングル「3472-1/どうして」に収録されていた曲で、「曇ヶ原」でのリメイク・ヴァージョンに準じたアレンジで展開。22年7インチEP収録の「くじらの歌は聴こえない」も、この4人の制作でアレンジもEP盤に準じているが、「鉛色(「独言独笑」収録)」はこの4人での制作音源はなく、オリジナルとはまた違った味わいになっていて面白い。全体にカッチリとハード&ヘヴィなアンサンブルと、アングラ調の内省的暗さと泣きを放つ石垣のキャラクターのハマりがよく、ライヴ然とした熱量の高いバンド感も十分で、日本のプログレ系愛好家ならまずもって楽しめる好ライヴ映像と思う。何というか、やっぱり70年代前半のユーライア・ヒープっぽさをけっこう感じた。
アルカンジェロ盤
(Progressive/Symphonic,Hard,Folk / DVD(2023 NTSC/R0) / Arcangelo/Japan)
石垣翔大(vo,b,12-g)
ヴァイオラ伊藤(el-g)
a_kira(org,p,kbd)
ム JAPAN(ds)
エンリケ後悔王子(g)
佐野麻呂梨王(sax)
Produced by Unknown
収録曲目
01.県道334号(入場SE)
02.3472-1
03.中野通り
04.トリプタン
05.砂上の朝焼け
06.うさぎの涙
07.くじらの歌は聴こえない
08.鉛色
09.雪虫
10.河津桜