韓国のビッグ・ピンク・ミュージックから、19年新規リマスター&限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様、歌詞掲載インサート入、オビ付。ベケットはニューキャッスル出身のグループで、この後バック・ストリート・クロウラーのテリー・ウィルソン・スレッサーが在籍していたことで知られているかも知れない。本作は、74年にUKのラフトからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーはスレッサー、ロバート・バートン、ケニー・マウンテン、イアン・マーレイ、キース・フィッシャーの5人編成を基本に、多くの曲で元ジョディ・グラインド、スナッフ等々のティム・ヒンクレーがゲスト参加、ストリングス・アレンジはウィルフ・ギブソン、プロデュースは元ファミリー等々のロジャー・チャップマン。ともかくもツイン・ギター編成で、ファミリー的リフの2曲目やアイアン・メイデンがカヴァーした6曲目などのハード・ナンバーが目を惹き、人脈的にも巷ではハード・ロックとして紹介されることが多い。ところがしかし、全体にギブソンの控え目だが非常に美しいストリングスが入った、適度に哀愁のあるメロディアスな楽曲が多く、ハード・ロックというよりは湿ったブリティッシュ・プログレといった印象のサウンド。特に、3,4,8曲目の情感のあるストリングスを交えた盛り上がりは、初期バークレー・ジェームス・ハーヴェストやアスガード辺りが好きなシンフォニック・プログレ愛好家にはかなりウケるかも知れない。メロディアスで寸止め系のハード・ロックとして聴くことも可能だが、全体にブルース色やスワンプ色はそれ程強くなく、ハード・ロック、プログレ、フォーク・ロックのハイブリット・サウンドとして、地味だがブリティッシュ然とした好盤と思う。
輸入盤/限定プレス
(Pop Hard/Progressive,Folk Rock / Paper-Sleeve CD(2019 Re-master) / Big Pink Music/Korea)
Terry Wilson-Slesser(vo)
Robert Barton(g,vo)
Kenny Mountain(g,vo)
Ian Murray(b)
Keith Fisher(ds)
Tim Hinkley(kbd)
String Arrangements by Wilf Gibson
Producerd by Roger Chapman
収録曲目
01.Once Upon A Time...The End
02.Rolling Thunder
03.Rainclouds
04.Life's Shadow
05.New Dawn Chorus
06.A Rainbow's Gold
07.Don't Tell Me I Wasn't Listening
08.Green Grass Green
09.My Lady
10.True Life Story