ドイツのラゾールから、76年のアルバム未収シングル1曲をボーナスで加えてのリシュー。ランディ・パイはハンブルク出身のグループで、元ラットルズのディッキー・タルラッハやマンフレート・ティジー・ティエール(ガッシュ経由)が中心となって73年に結成されている。当時のジャーマン・ロックにはわりと珍しい、ブルース、ファンク、ソウル、プログレのゴタ混ぜハード&ポップ系サウンドを展開した。本作は、76年9月に地元のハンブルグで行われたライヴ音源を収録したライヴ・アルバムで、76年にドイツのポリドールからリリースされた。メンバーは、サード制作時のタルラッハ、ティエール、ベルント・ヴィピッヒ、ヨッヘン・ペーテルゼン、ジャン・ジャック・クラヴェッツ(ex.フランピィ,etc)、ヴェルナー・ベッカーの6人に、さらにインゲブルク・トームセン、フライア・ヴィピッヒを加えた8人編成。基本的には、軽快な16ビートの効いたヘヴィ・ファンク系サウンドを展開していて、初期に比べさらにハード・ロック色は薄くなっている印象。クラヴェッツを含むツイン・キーボードと、ブルージーなギター、ソウルフルで太いシャウト・ボーカル、ドライヴするリズム隊による演奏は、非常にノリがよく濃密かつダンサンブルで、例えばスライ&ファミリーストーン辺りに近い感じのグルーヴィーさが感じられる。楽曲はマイナー展開でどっしりしたものが多く、インプロも交えた展開には引き締まった緊張感があって、ファンク系としては変化球といった感じもあるが、バンド感十分でイケイケ系の脳天気な軽さはない。この、上手くて重厚な演奏とメインストリーム系の洗練感は素直にカッコよく、アメリカのこの線のサウンドとは一味違ったテイストで、ノリのよさと暗さが同居するパブ・ロック系としてもけっこう楽しめるかも知れない。
輸入盤/デッドストック入荷
(Blues&Swamp/Funk,Pub Rock,Hard / Jewel-case CD(2001) / Razor/German)
Bernd Wippich(vo,g,per)
Jochen Petersen(g,sax,vo,per)
Jean Jacques Kravetz(kbd)
Werner Becker(kbd,vo)
Tissy Thiers(b,vo,per)
Dicky Tarrach(ds)
Ingeburg Thomsen(vo,per)
Freya Wippich(vo,per)
Produced by Randy Pie
収録曲目
01.You've Got The Power
02.Iron Otto
03.Autumn
04.I Am The Joker
05.Goin' Thru The Motions
06.Highway Driver
07.Like A Fart In The Bucket
08.England, England (We Can't Come)
09.Dance (If You Want It)
10.Mirage...Europlane
bonus track(1976 single):
11.England, England