UKのポリドール/ユニバーサルから、67年のデビュー・シングル両面2曲(アルバム未収)をボーナスで加えての、09年新規リマスターのリシュー。音質はけっこうクリアで迫力もあってよい。デイヴィッド・アレン、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、マイク・ラトリッジの4人でスタートしたソフト・マシーンは、ケント州カンタベリーで66年前後に勃興した、いわゆるカンタベリー・ロック・シーンの柱となるグループで、ゴング、ホール・ワールド、マッチング・モウル等の派生バンドと共に、数多のミュージシャン達に影響を与えリスペクトを受け続けるビッグ・ネーム。本作は、フランス・ツアーからの帰国時に、アレンがドラッグ所持とビザの期限切れでイギリス入国を拒否されグループを脱退した後、残りの3人でレコーディングを行い、68年にUSAプローヴからリリースされたファースト・アルバムで、チャス・チャンドラーとトム・ウィルソンの共同プロデュース。全体にサイケまたはアート・ロックと呼べるサウンドを展開していて、サード以降のジャズ・ロック路線とは全く趣を異にする。ラトリッジのエレピとオルガンは十分に真っ当だが、エアーズのベースはかなりデタラメで、ワイアットのドラムもハジけていて変テコさ満点。明らかに耳のよさとセンスで勝負している印象で、チャーリー・パーカーのソロを完璧に声で再現出来るというワイアットの奇声ボーカルも含め、オモチャ箱をひっくり返したような猥雑なアイデアが、次々と豊富に繰り出されてくる様はともかくも壮快。ワイアットが裸の上半身に背広やネクタイの絵を描いて、澄まし顔でポーズを取っているスリーヴが象徴するように、脳天気な総天然色サイケ路線にストレンジ色が加味された、正しくサイケなサウンド。カッコよし!。
輸入盤
(Psyche/Progressive,Canterbury / Jewel-case CD(2009 Re-master) / Polydor/UK)
Robert Wyatt(vo,ds)
Mike Ratledge(kbd)
Kevin Ayres(b,g,vo)
Daevid Allen(vo,g)bonus
Produced by Chas Chandler & Tom Wilson
収録曲目
01.Hope For Happiness
02.Joy Of A Toy
03.Hope For Happiness(Rep)
04.Why Am I So Short?
05.So Boot If At All
06.Certain Kind
07.Save Yourself
08.Priscilla
09.Lullabye Letter
10.We Did It Again
11.Plus Belle Qu'une Poubelle
12.Why Are We Sleeping?
13.Box 25/4 Lid
bonus track(1967 single):
14.Love Makes Sweet Music
15.Feelin' Reelin' Squeelin'