UK/EUのエソテリック・レコーディングスから、未発表バージョン12曲をボーナスで加えての、23年新規リマスター&2CD&3面開きデジパックでのリシュー。音質はクリアで奥行きもあってよい。スタックリッジはブリストル出身のグループで、アンディ・デイヴィスとジム・ウォルターが中心となって69年に結成されたスタックリッジレモンを母体として、程なくスタックリッジに改名した。ビートルズ系ブリット・ポップネスを基調としつつも、プログレ、トラッド、ルーツ・ミュージックなどの要素を取り込んだ、独特のサウンドを展開する面白いグループ。本作は、76年にUKロケットからリリースされたフィフス・アルバムで、メンバーは前作からのデイヴィス、ムッター・スラーター、キース・ジェメルの3人に、新たに元サムライ、グリーンスレイド等のデイヴ・ローソン、出戻りジム・ウォルター、元ヘッドストーン等のピート・ヴァン・フックを加えた6人編成。元々メンバー達がリリースするつもりで制作したのが、ディスク2の未発表バージョン12曲(「ミスター・ミック」の人生をモチーフとしたコンセプチュアルな内容)で、レーベル側がそれにクレームを付けて、ビートルズのカヴァー(1曲目)も含めたよりポップな仕上がりにしてリリースされたのがディスク1のアルバム・バージョンということらしい。アルバム・バージョンのほうは、ある意味全作品中最も洗練されたポップ・プログレかも知れず、毒気は薄いが一捻り感は十分というか、柔らかいアンバーなテイストが流していて素直に心地好い。未発表バージョンは、全体にポップネスよりもちょっと独特のダークさを内包した毒気が前面に顕われていて、アルバム・バージョンと重複する楽曲やアレンジ自体はそれ程大きく違わないものの、けっこう趣を異にする印象。聴き比べるのも一興と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Pops,Canterbury / Digi-Pack 2CD (2023 Re-master) / Esoteric/UK,EU)
Andy Davis(g,kbd,vo)
Dave Lawson(kbd,mltrn)
Mutter Slater(fl,kbd,vo)
Keith Gemmel(sax,clnt)
Jim Walter(b)
Pete Van Hooke(ds)
Producerd by Andy Davis
収録曲目
(CD1/The Original Album):
01.Hold Me Tight
02.Breakfast With Werner Von Braun
03.The Steam Radio Song
04.The Dump
05.Save A Red Face
06.The Slater's Waltz
07.Coniston Water
08.Hey! Good Looking
09.Fish In A Glass
(CD2/The Unreleased Version):
01.Hey! Good Looking
02.Breakfast With Werner Von Braun
03.Mr.Mick's Walk
04.Mr.Mick's Dream
05.Save A Red Face
06.The Steam Radio Song
07.The Slater's Waltz
08.Hazy Dazy Holiday
09.Coniston Water
10.Can Inspiration Save The Nation?
11.Mr.Mick's New Home
12.Fish In A Glass