UK/EUのエソテリック・レコーディングスから、71年のアルバム未収シングルや、71年9月のBBCセッション音源など計4曲をボーナスで加えての、23年新規リマスター&デジパックでのリシュー。音質はクリアで奥行きもあってよい。スタックリッジはブリストル出身のグループで、アンディ・デイヴィスとジム・ウォルターが中心となって69年に結成されたスタックリッジレモンを母体として、程なくスタックリッジに改名した。ビートルズ系ブリット・ポップネスを基調としつつも、プログレ、トラッド、ルーツ・ミュージックなどの要素を取り込んだ、独特のサウンドを展開する面白いグループ。本作は、71年にUKのMCAからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、デイヴィス、ジェームス・ウォーレン、ムッター・スラーター、マイク・エヴァンス、ビリー・ベントの5人編成、プロデュースはフリッツ・フライヤー、スリーヴ・デザインはヒプノシス。巷では、ビートルズのポップネスを継承するニッチ・ポップの代表的バンド、またはコーギスの前身バンドとして紹介されることが多いようだが、確かにサード「山高帽の男」にはそういうテイストが強いものの、まだアンダーグラウンドなサイケ感が残る本作は、また違った味わい深さという印象。全体にはすでに十分ポップではありながら、例えば5,9曲目に代表されるような、アコースティック・ギター、ヴァイオリン、フルートを上手く生かした、独特のプログレ的アンサンブルも随所に鏤められ、英国の湿った香りと嫌味のないポップネスのマッチングもいい塩梅。曲によっては初期10cc辺りにも近似する印象で、演奏も上手くてオシャレ感もあって、カンタベリー的でエレガントな雰囲気が漂う好盤と思う。尚、ボーナス11曲目は、06年UKエンジェル・エアー盤にもボーナス収録されていた未発表のトラッド曲で、もしかしたらBBCセッション音源なのかも知れない。
輸入盤
(Progressive/Folk Rock,Pops,Canterbury / Digi-Pack CD (2023 Re-master) / Esoteric/UK,EU)
Andy Davis(g,ac-g,kbd,vo)
James Warren(b.ac-g,vo)
Mutter Slater(fl)
Mike Evans(vln)
Billy Bent(ds,per)
Producerd by Fritz Fryer
収録曲目
01.Grande Piano
02.Percy The Penguin
03.The Three Legged Table
04.Dora The Female Explorer
05.Essence Of Porphyry
06.Marigold Connection
07.32 West Mall
08.Marzo Plod
09.Slark
bonus track:
10.Everyman (1971 single)
11.Let There Be Lids
12.The Three-Legged Table Part Three (BBC Radio John Peel Top Gear session 21st Sep 1971)
13.Slark (BBC Radio John Peel Top Gear session 21st Sep 1971)