UKのバッド・エレフェント・ミュージックから、3面開きデジパックでのリリース。ゾップは、イギリス人マルチプレイヤーのライアン・スティーヴンソンと、イタリア人ドラマーのアンドレア・モネタ(ex.レヴィアサン,スプレンドレ,etc)が、10年頃からコツコツとレコーディングしていたユニットで、ノッティンガムシャーとダービーシャーのスティーヴンソンのホーム・スタジオを拠点としてるようだ。本作は、20年にリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、各種キーボード&ギター、ベースなどのスティーヴンソン、ドラムのモネタを核に、曲によってアンディ・ティリソン(ex.タンジェント,パラレル・オア・90ディグリーズ,etc)、テオ・トラヴィス(ex.ソフト・マシーン,トラヴィス&フリップ,etc)、マイク・ベンソン、キャロライン・ジョイ・クラーク等が適時参加、スティーヴンソンとティリソンの共同プロデュース。概ね、正調カンタベリー・ジャズ・ロック的サウンドで、ラトリッジ&ミラー・ライクな音色のオルガンとギター、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースとナショナル・ヘルスの狭間的フレーズやエレガントなコード感を軸に、当世風アシッド・ジャズ/エレクトリック・ジャズ方面のエレクトロニクス感も交え、ポスト・ロック調のソリッドな演奏で展開。おそらく本人たちはカンタベリー地方縁や関連の出自ではないのだろうが、プログレ然とした畳み掛けるアレンジや独特の浮遊感が担保された楽曲辺りは、わりとカンタベリー調のど真ん中という印象で、バンド感が担保されたアンサンブルは素直にカッコよくて上等。当世ブリティッシュ・プログレ系としても十分楽しめるが、特にカンタベリー的なセンスやサウンドの愛好家は、かなり面白く聴ける好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Canterbury,Jazz Rock / Digi-Pack CD(2020) / Bad Elephant Music/UK)
Ryan Stevenson(org,p,el-p,mltrn,syn,b,el-g,field-recordings,per)
Andrea Moneta(ds,per)
Andy Tillison(p,org,syn,effects)
Theo Travis(fl)
Mike Benson(sax)
Caroline Joy Clarke(vo)
Produced by Ryan Stevenson & Andy Tillison
収録曲目
1.Swedish Love
2.Before The Light
3.Eternal Return
4.Sanger
5.Sellanra
6.V
7.Being And Time
8.Zero
9.The Noble Shirker