UK/EUのラブル・ラウザー・ミュージックから、限定ペーパースリーヴでのリリース。カンガルー式見開き紙ジャケ仕様。ジ・オンタンクスは、ニューカッスル・アポン・タイン近郊ライトン出身のレイチェル&ベッキー・オンタンク姉妹が、レイチェルの旦那さんのエイドリアン・マクナリーと04年に結成したレイチェル・オンタンク&ウインターセットを母体として、2枚のアルバムをリリース後の09年に改名したグループ。本作は、22年にリリースされたジ・オンタンクス名義テンス・アルバムで、メンバーは、レイチェル、ベッキー、マクナリー、ニコラ・キーガン、リジー・ジョーンズ、クリス・プライス、マーティン・ダグラスの7人を核に、曲によって弦楽クィンテットが適時参加、プロデュース&監督はマクナリー。概ね、従来の室内楽調アシッド・フォーク路線変わらずだが、15年6th「マウント・ジ・エアー」の中心メンバーにドラムを加えた編成で、アンサンブルが非常に熟れているというか、淡く儚い情感がドローン感に収束する、とても静謐なスピリチュアル感を堪能出来る。過半数の7曲がトラッド・チューンで、アレンジや演奏は最早プログレ方面だが、トラッドが内包する民衆のデモーニッシュな情感の昇華が見事に担保されていて、『主役は曲』のオーセンティックで前に出ない佇まいもほぼ満点。レイチェルとベッキーの、ハーモニー・コーラスを交えたアンバーな囁き系ボーカルもますます素敵で、丸くて柔らかい音像がともかくも流していて心地好い大好盤と思う。19世紀の日本の花火絵をモチーフとした、デイル・マロニーの手による木版画調スリーヴも素敵。
輸入盤
(Acid Folk/Trad,Chamber,Progressive / Paper-Sleeve CD(2022) / Rabble Rouser Music/UK,EU)
Rachel Unthank(vo)
Becky Unthank(vo)
Adrian McNally(p,org,hnum,vo)
Niopha Keegan(vln,vo)
Lizzie Jones(tp)
Chris Price(g,b,vo)
Martin Douglas(ds)
Ed Cross(vln)
Sarah Roberts(vln)
Chrissie Slater(vla)
Ele Leckie(cello)
Katie Tertell(cello)
Directed & Produced by Adrian McNally
収録曲目
01.The Great Silke Of Sule Skerry
02.The Sandgate Dandling Song
03.The Old News
04.The Royal Blackbird
05.The Isabella Colliery Coke Ovens
06.The Bay Of Fundy
07.The Month Of January (Uncle Rat)
08.My Singing Bird
09.Waters Of Tyne
10.Sorrows Away (Love Is Kind)