UKのサンビームから、本作レコーディング時の未発表曲5曲をボーナスで加えてのリシュー。特にリマスター表記はないが、音質はクリアでよい。ジ・ハビビーヤは、元マイティ・ベイビィのイアン・ホワイトマン、マイク・エヴァンス、ロジャー・パウエルの3人が、マイティ・ベイビィ解散後にモロッコに旅行した際、イスラム神秘主義とアラビック・トラッドにインスパイアされ、渡英していたカリフォルニアのヒッピー音楽集団のスーザン&コンラッド・アルチュレッタ夫妻と共に、72年にロンドンで結成したグループ。本作は、72年にUKアイランドからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、前述のホワイトマン、エヴァンス、パウエル、アルチュレッタ夫妻の5人編成、ホワイトマンとパウエルの共同プロデュース。基本的には、アラビック・トラッドを基調としたドローン・アシッド・フォークを展開していて、インド音楽の影響も随所に感じられ、曲調は全体に憂いを帯びた哀愁のトーンが強い。ボーカルはわりと呪術的で、清楚で祈りを彷佛させるスピリチュアル感が、スモーキーなアシッド感に収束する面白いサウンド。尺八、琴、マンドーラ、チター、ヴィオラ、ギター、オルガン、アラビック・パーカス等々による演奏は、淡々と素朴で非常に瞑想感が強く、アシッド・フォーク然とした妖しさと浮遊感が心地好い。この、原初的な古楽的要素が内包された、生真面目さと演奏性の高さが同居するコンセプトや佇まいは、例えばサード・イアー・バンド辺りにも近似する印象。確実に空気の色と時間の流れが変わる、優れて瞑想的な好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Acid Folk/Psyche,Drone,Progressive / Jewel-case CD(2007) / Sunbeam Records/UK)
Ian Whiteman(shakuhachi,p,org,oboe)
Mike Evans(mandola,g,b)
Roger Powell(ds,safi-ds,per)
Susan Archuletta(shakuhachi,koto,vo,vla,g)
Conrad Archuletta(shakuhachi,vo,nay-fl,zither,bjo)
Producerd by Roger Powell & Ian Whiteman
収録曲目
01.Two Shakuhachis
02.Koto Piece
03.The Eye-Witness
04.Mandola
05.If Man But Knew
06.Fana-Fillah
bonus track:
07.Procession Of The God Intoxicated
08.Peregrinations
09.Peregrinations Continued
10.Another Ode
11.Bird In God's Garden