UKのスプーン・レコードから、12年新規リマスターでのリシュー。カンは、ミュージック・アカデミアの教師だったホルガー・シューカイとイルミン・シュミット、フリー・ジャズ畑のドラマーだったヤキ・リーヴェツァイトが、映画のサントラ制作の為に68年にケルンで結成したインナー・スペースを母体とするグループで、アカデミアでシューカイの生徒だったミヒャエル・カローリ加入後にカンに改名した(異説あり)。唯一無比の個性と先鋭的な音楽性を放ち、その後のプログレ、パンク、ニュー・ウェイヴ、テクノ等々、数多のミュージシャン達に影響を与えたジャーマン・サイケを代表するバンドの1つ。本作は、72年にドイツUAからリリースされたフォース・アルバムで、メンバーは、シューカイ、シュミット、リーヴェツァイト、カローリ、ダモ鈴木の5人編成。概ね脳天スライムなサイケ感満点で、前作までのヴァイオレントなアングラ感と、次作以降のクールなファンク色、変態エスニック&エレクトロニクス色が混在&交叉している印象。その意味では、結果として過渡期のサウンドと位置付けることも可能だが、おそらくダモ鈴木が最も炸裂しているアルバムで、この英語、ドイツ語、日本語のデタラメ感十分のチャンポン・スタイルから繰り出される呪術的トーキング・ボーカルは、ともかくも強烈なオリジナリティとインパクトを放つ。全体に、フニャフニャ&プカプカの妖しいアングラ的浮遊感が漂っていて、ドラムのビートだけがクッキリしていて他は形があるようでないようで、ところがしかし妙にポップで聴きやすい不思議なサウンド。何時までたっても着地点がわからず、暗くも明るくもないこのとりとめのなさは、毒のあるゆるさというか、そんなカッコよさを放つ好盤と思う。EUプレス盤
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輸入盤
(Psyche/Progressive,Experimental / Jewel-case CD(2012 Re-master) / Spoon Records/UK,EU)