国内の日本コロムビアから、UHQCD(アルティメイト・ハイ・クォリティCD)&18年新規リマスターでのリシュー。ムクワジュ・アンサンブルは、すでにベルリン・フィルの一員としてデビューしていた高田みどり、深町純等とサントラを手掛けていた荒瀬順子、山本邦山の尺八作品等に参加していた定成庸司の、3人の打楽器奏者によるユニット。本作は、81年に日本コロムビア傘下のベター・デイズからリリースされたセカンド・アルバムで、タイトルは「樹・モーション」。メンバーは、前作からの高田、定成の2人に、プロデュース兼任の千野秀一(ex.Wha-ha-ha,グラウンド・ゼロ,etc)と、村上ポンタ秀一を加えた4人編成。前作では全曲が久石譲の作曲だったが、今回は高田と千野の曲を軸に、正調ミニマル系の高田、国籍不明エスニック系の千野のセンスが交叉していて、けっこうハミ出し感十分で面白い。スティーヴ・ライヒ的カウンターポイント手法の1曲目や、モアレ感がドローン的な2曲目など、高田の曲は83年のファースト・ソロ「スルー・ザ・ルッキング・グラス」に繋がっていく印象で、サイケな猥雑感やユーモラスさに収束する千野の曲とある意味好対照をなす。全体に、マリンバ、ヴィブラフォンを軸としたマレット楽器群の音色が心地好く、ポンタのドラムを交えたリズム・アンサンブルは見事で、シンセのエレクトロニクス感も的確にハマっていて、浮世離れした独特の浮遊感と雰囲気を放つ。時間の流れと空気の色が変わる、ともかくも正しくサイケな好盤と思う。心地好し!。
国内盤
(Psyche/Minimal,Ambient,Drone / Jewel-case UHQCD(2018 Re-master) / Nippon Columbia/Japan)