カナダのユニバーサルから、19年新規リマスターでのリシュー。アルモニウムは、ケベック州モントリオール出身のグループで、セルジュ・フィオリとミシェル・ノルマンドーのギター・フォーク・デュオに、ベースのルイ・ヴァロワが加わる形で73年に結成されている。トリオ編成による74年のファーストはアシッド・フォーク系、キーボードと菅楽器が加わったセカンドでプログレ色が加味され、さらにドラムとエレキ・ギターが加わったサードではバンド・スタイルのシンフォニック・ポップ・プログレ調へと、78年の解散までサウンドに変遷を見せた。本作は、74年にカナダのセレブレーションからリリースされたファースト・アルバムで、6曲目を未発表ヴァージョンに差し替えた45周年記念盤。メンバーは、フィオリ、ノルマンドー、ヴァロワのトリオ編成が基本で、曲によってアラン・ペンフォールド、レジャン・エモンが適時ゲスト参加、プロデュースはボブ・モーテン。概ね、少々のプログレ色を内包したアシッド・フォーク系サウンドを展開していて、フランス語ボーカルの湿った質感と、楽曲の明る過ぎず暗過ぎずの情感が、フォーク・ロック調アレンジと何とも妙なマッチングで同居。浮遊感十分のプカプカした儚さは、わりと牧歌的な田園風景をイメージさせられるが、美しい音色のアコースティック・ギターや哀愁のフリューゲル・ホルン&フルート、ドライヴ感のあるベース等々による演奏、よく練られたアレンジなど、けっこう洗練された都会的な要素も合わせ持っていて、ともかくも流していて心地好い。全体に耳触りが柔らかで、独特の趣を放つ好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Acid Folk,Folk Rock,Symphonic / Jewel-case CD(2019 Re-master) / Universal/Canada)