UK/EUのエソテリック・レコーディングスから、22年新規リマスター&デジパックでのリシュー。ジェード・ウォリアーは、元ジュライのトニー・ダーハイとジョン・フィールドが中心となって69年にロンドンで結成されたグループで、ヴァーティゴ時代は、ブリティッシュ然としたくぐもった情感にアフリカン・パーカスを使ったエスニック色やジャジーなブルース色が交叉する独特のサウンドを、アイランド時代はさらにアンビエント&ミニマル色を絡めたサウンドを展開した特異なバンド。本作は、72年にUKヴァーティゴからリリースされたサード・アルバムで、メンバーは、ファーストから不変のダーハイ、フィールド、グレン・ハヴァードの3人に加え、前作から引き続きドラムのアラン・プライスと、新たにトニーの弟のデヴィッド・ダーハイがギターで適時ゲスト参加。概ね前2作の延長線上にある、ブルース、ハード、ジャズ・ロック、フォーク、プログレをサイケで括った独特のサウンドを展開していて、相変わらずブリティッシュ然としたゴッタ煮感十分。変則ブルージー・サイケ・ハード・ナンバーの中に、メロディアスなナンバーが存在感を放つ面白い内容で、ベタだが嫌味のないメロディアスなプログレ・バラード調の「ウィンターズ・レイル」や「レディ・オブ・ザ・レイク」、ギター&ベースの妖しいドローンが幽玄な世界へと誘う「オベディエンス」、ゆったりと流れる「モーニング・ハイム」など佳曲が多い。特に、「ウィンターズ~」のスコーンと突き抜けたゆるやかな浮遊感や、「オベディエンス」の浮世離れした美しさは絶品で、他のB級ハード&ヘヴィ・サイケ調、アフロ・ロック調ナンバーも含め、正しくサイケで心地好い好盤と思う。この後トニーとジョンのデュオ編成となって、より瞑想的なアンビエント・プログレへとシフトしていく。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Blues,Hard,Folk Rock / Digi-Pack CD(2022 Re-master) / Esoteric Recordings/UK,EU)