UKのサウンド・キャニオンから、見開きペーパースリーヴでのリリース。ヘルド・バイ・トゥリーズは、主にプロデューサー/サウンドクリエイターとして活動していたデヴィッド・ジョセフが、20年に開始したユニットというかプロジェクトで、本作は23年にリリースされた5曲入ライヴEPCD。タイトル通り、22年11月7日のリアル・ワールド・スタジオでのライヴ音源で、翌8日の新曲演奏を収録した5曲入EPCD「イヴンタイド」との同時リリース。メンバーは、ジョセフ、ロビー・マッキントッシュ(ex.ポール・マッカートニー,プリテンダーズ,etc)、ローレンス・ペンドラス、アンディ・パナイ、ジェームズ・グラント、ポール・ビーヴィスの6人編成。全て22年ファースト「ソレイス」収録曲で、多少細部の違いはあっても楽曲のエッセンスはほぼそのまま担保されたアレンジで展開していて、ギルモア調の泣きのギターや静謐なピアノを軸に、ピンク・フロイド的プログレ感とポスト・ロック的サイケ感が交叉。スタジオ盤のキモだったミニマル&ドローン色、しっとりしたアンバーな情感、細やかなダイナミズム等々がちゃんと再現されていて、同時に生演奏ならではのリアルなラウドさも顕われた、ライヴとしてはかなり秀逸なアンサンブル。この、ベタだが嫌味のないブルージーなプログレ的哀愁は、おそらくある年代以上のリスナーの琴線に触れること請け合いというか、その世代にとっての古きよきプログレの、当世フィルターを通した新たな試みとして、十分に納得できるサウンドという印象。「ソレイス」が気に入った人は勿論、プログレ愛好家なら広く楽しめるだろう、ともかくも流していて心地好い好ライヴ盤と思う。余談だが、リアル・ワールド・スタジオは、ピーター・ガブリエル(ゲイブリエル)の所有スタジオ。
輸入盤
(Progressive/Post Rock,Jazz Rock / Paper-Sleeve EPCD(2023) / Sound Canyon/UK)