UK/EUのエソテリック・レコーディングスから、24年新規リマスター&デジパックでのでのリシュー。クリス・スペディングはバーミンガム出身のギタリストで、バタード・オーナメンツ、ニュークリアス、シャークスやソロ活動の他、ジャック・ブルース、ディック・ヘクトール・スミス、レズリー・ダンカン等数多のレコーディングに参加した著名セッション・ギタリストとしても知られていると思う。本作は、70年に日本の東芝EMIオデオン、71年にUKハーヴェストからリリースされたアルバムで、UK盤は結局リリースされなかったという説もあり。日本ではソロ名義ファースト「無言歌」、UKでは一応ソロ名義セカンドだが、レコーディングは69年秋頃で、70年リリースのUKファースト「バックワード・プログレッション」より音源としては古い。今回メンバーは、スペディング、ジョン・ミッチェル、ポール・ラザフォード(ex.デレク・ベイリー,マイク・ウエストブルック,etc)、ロジャー・ポッター(ex.バタード・オーナメンツ,etc)、ジョン・マーシャル(ex.ニュークリアス,ソフト・マシーン,etc)の5人編成で、スペディングとピーター・エデンの共同プロデュース。ジョン・マクラフリン影響下のスペディングなりのジャズ・サウンドを試みたということで、スペディングはアコースティック・ギターとテレキャスを多用していて、ミッチェルのピアノやポッターのウッド・ベースのくぐもった響きの音色、ラザフォードのトロンボーンやマーシャルのドラムのちょっとした実験色も含め、全体に初期キース・ティペット・グループ辺りにも近似する印象。派手な炸裂はないが独特のハミ出し感があって、このブリティッシュ的ゴタ混ぜ感と煮え切らなさは味わい深く、スピリチュアル・ジャズ方面の空気感も含め、非常に雰囲気のよい好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Jazz,Jazz Rock,Blues / Digi-Pack CD(2024 Re-master) / Esoteric/UK)