ドイツのレパートリーから、11年新規リマスター&ペーパースリーヴでのリシュー。USA盤スリーヴの見開き紙ジャケ仕様で、音質はクリアで非常によい。ルネッサンスは、キース&ジェーン・レルフ達のオリジナル・ルネッサンス消滅後、マイケル・ダンフォードとアニー・ハズラムをキーパーソンとして再編されたグループで、メンバーも音楽性も異なる別のグループといってよいと思う。本作は、78年にUKワーナーからリリースされたセクス・アルバムで、確か邦題は「四季」。メンバーは、セカンド以降不変のアニー、ダンフォード、ジョン・タウト、ジョン・キャンプ、テリー・サリヴァンの5人編成で、オーケストラ・アレンジをルイス・クラーク、プロデュース&エンジニアをデヴィッド・ヘンツェルが担当、スリーヴ・デザインはヒプノシス。いかにもこのバンドらしい湿った英国の哀愁ナンバーの1,8曲目、ドラマティックなシンフォニック・プログレのお手本のような2,4曲目等々、出来のよいナンバーが収録されていて一定の人気もあるが、ヘンツェルのエンジニアリングにより各パートの音色に前作までとは違った洗練感が感じられ、ブリティッシュ的イモっぽさが薄れてメインストリーム方面へ『一皮剥けた』ような印象。クラークのオーケストラ・アレンジも、ダイナミズムがクッキリしていてエレガントにハマっているが、わりと普通にポップな曲も多く、その意味では次作以降のポップ・プログレ路線への過渡期的作品ともいえるかも知れない。イモっいプログレの残滓と洗練されたポップネスが、何とも繊細なバランスで同居していて、そこが本作の妙な魅力で全体の出来も悪くない。少し屈折した面白い味わいの好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Symphonic,Classic,Folk Rock / Paper-Sleeve CD(2011 Re-master) / Repertoire/German)