(中古/USED CD):00年のUSAコルティカル・ファウンデーション盤/輸入盤・廃盤
(状態/CONDITION):SLEEVE=A / DISC=A
ヘルマン・ニッチュはウィーン出身のアヴァン・ギャルド・アーティストで、60年代からウィーン・アクショニズム(動物の臓物や死骸、血をぶちまけるパフォーマンスを、ゴシック/ノイズ系ミュージックと共に展開するインスタレーション)を牽引、ギュンター・ブルスやオットー・ミュールと合わせて『ウィーン・アクショニスト三羽烏』とも呼ばれた。本作は、89年にオーストリアのO.M.シアターから自主制作でリリースされた20本カセットテープ・ボックス作品「ディー・ティーフェ・デス・アレス/ダス・ハルモニウムヴェルク 1983-1989」のCDリシュー・シリーズの1つで、1~40のうちの5~8の4曲を収録した2枚組、オビ付。全て、奥さんからプレゼントされたハーモニウムをニッチュが1人で演奏していて、プロデュースはゲイリー・トッド。オリジナルのカセットテープ・ボックスは、限定15セットのみのリリースだったとかで、一部のマニア/コレクター界隈ではよく知られたレア・アイテム。概ね、わりと晴れやかなハーモニウムによるドローンで、普段の過激かつ血みどろのスカトロ系ゴシック/ノイズ方面とは全く趣を異にするサウンド。倍音の多いハーモニウムの特性を上手く使った、肯定的で美しい響きを軸とした優れて瞑想的なメディテーション・ミュージックで、フラクタルというより金太郎飴的な『どこを聴いても同じ』的垂れ流し感満点だが、それこそ言葉通りのまさにドローンなサウンドスケープというか、埋没出来る浮遊感十分。ブックレットの中スリーヴには、「宇宙の深淵」と題されたニッチュ本人のライナーが掲載されていて、子どもの頃夜空を見ているのが好きで、何かしらのインスピレーションをいつも受けていたとあり、その幼少時代からのロマンティシズムが本作に結実しているのかも知れない。正しい退屈さが正しくサイケなドローン系の好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Drone,Contemporary Music / Jewel-case 2CD(2000) / Cortical Foundation/USA)