(中古/USED CD):95年の日本ポリドール盤/国内盤・廃盤/オビなし
(状態/CONDITION):SLEEVE=A / DISC=A
アンソニー・ムーアはロンドン出身の実験音楽家&コンポーザー&マルチ・プレイヤーで、何よりスラップ・ハッピーとヘンリー・カウでの活動で知られていると思う。アート・スクールで現代音楽を学んだ後、70年にドイツに渡ってハンブルクを拠点に活動を開始、アンダーグラウンド・シネマのサントラ制作に携わる中で、映像ジャーナリストのウーヴェ・ネッテルベックと知り合い、ネッテルベックを通じてファウストやダグマー・クラウゼ等とも交流、71年にソロ・デビュー、72年にスラップ・ハッピー結成という流れ。本作は、72年にドイツのポリドールからリリースされたソロ名義セカンド・アルバムで、邦題は「ブルー・バックの秘密」、ライナーは岸野雄一&虹釜太郎(パソコン通信のオンライン対談起こし)。クレジット・メンバーは、ギースケ・ホフ・ヘルメルス、トニ・セン、パトリック・シュトルブ、ロルフ・ブラウン、ヴォルフ・シュライバーの5人で、プロデュースはネッテルベック。今回、作曲者のムーア本人は演奏に参加しておらず、前作にも参加していたギースケのソプラノと、ファゴット、ヴァイオリン、チェロによる室内楽調のミニマル・チェンバー・サウンドを展開。3曲とも、ド・レ・ミ・ファ・ソの反復を基調としたヴァリエーションで、結局ド・レ・ミ・ファ・ソと、そのカウンター・フレーズが適時絡むシンプルなアンサンブルなのだが、春の好天の朝のような清々しさと、例えば実験音楽期のフランコ・バッティアート辺りにも通じるアルカイックなスピリチュアル感が交叉。ド・レ・ミ・ファ・ソの反復は、何というか、誰かの練習を覗き聴きしているような錯覚に収束する感じで、退屈なのに心地好い不思議な面白さを体験出来る。案外と味わい深い好盤かも知れない。
国内盤
(Progressive/Minimal,Chamber,Psyche / Jewel-case CD(1995) / Polydor/Japan)