(中古/USED CD):98年のUKブループリント盤/輸入盤・廃盤
(状態/CONDITION):SLEEVE=A- (黄バミ感有) / DISC=A
アンソニー・ムーアはロンドン出身の実験音楽家&コンポーザー&マルチ・プレイヤーで、何よりスラップ・ハッピーとヘンリー・カウでの活動で知られていると思う。アート・スクールで現代音楽を学んだ後、70年にドイツに渡ってハンブルクを拠点に活動を開始、アンダーグラウンド・シネマのサントラ制作に携わる中で、映像ジャーナリストのウーヴェ・ネッテルベックと知り合い、ネッテルベックを通じてファウストやダグマー・クラウゼ等とも交流、71年にソロ・デビュー、72年にスラップ・ハッピー結成という流れ。本作は、72年にソロ名義サート・アルバム用としてレコーディングされ、プロモ(ドイツのポリドール)盤も制作されたが、結局リリースに至らなかったオクラ入音源で、メンバーは、おそらくムーア1人によるパフォーマンス、プロデュースもクレジットはないが、何らかの形でネッテルベックは関わっていると思われる。タイトル通り、バンブー・スティックを金属器具や床、テーブル、その他の様々な面に落とした音をループさせ、縦笛を変容させた虎落笛や遠くでなってる読経のようなドローン・マテリアルや、お湯が湧いた時の薬缶の警笛のようなホイッスル、仏壇の鈴の音みたいなベルや掛け声などを適時織り交ぜた、ちょっと独特な現代音楽調の実験サウンドを展開。ミニマル的要素や結果としてのドローン・アンビエント的要素もないわけではないが、雨漏りの滴が金属のタライやナベ、コップなどに落ちている音を、ず~っと聴き続けているような妙な感覚で、何かのゾーンに入り込んでいくようなサウンドスケープ。広く一般受けする方面では決してないが、コンテンポラリー系としてはかなりシリアスかつ真っ当で、バンブー・スティックの跳ね返る音がリアルかつ鮮明である意味美しく、これはこれで埋没して楽しめたりもする。
輸入盤
(Progressive/Experimental,Psyche / Jewel-case CD(1998) / Blueprint/UK)