フランスのヌメロ・ディスク/ステラ・ミュージックから、見開きデジスリーヴでのリリース。ステラ・ミュージック・アンサンブル(SME)はフランスのナントを拠点とするグループで、ブリュッセル出身のヨアキム・フローランが中心となって22年に結成されている。フローランはパリ国立高等音楽院で学んだ後、ジャン・ルイ、インペリアル・クァルテット、ラディエーション10等々のユニットやグループを立ち上げ、現在はデザイナーズとSMEの並行活動が中心のようだ。本作は、23年にリリースされた(只今のところ)ファースト・アルバムで、メンバーは、フローラン、エミリー・シュヴィヤール、モルガーヌ・ウドモン、マリー・パスカル・デュベの4人編成。独特の喉の使い方をするイヌイットの唱法、アイリッシュ・トラッド・スタイルのヴァイオリン、メラネシア民族音楽のリズム、ボリウッド・ダンス(インドの伝統的な農民舞踏)やヨーロッパの中世古楽の要素などなどが交叉する、ちょっと独特の国籍&正体不明エスニック・ミュージックを展開。曲によっては、前述それぞれの要素が強く顕われている場合もあるが、大抵は各要素が1曲の中に同居していて、例えばコウマスの「ファースト・アッタランス」のような様相を呈している、非常に面白いサウンド。ヴァイオリンとハープのピチカート奏法や、コントラバスの弓弾きとボディ・パーカス奏法などを駆使して、かなり様々な音色が繰り出され、全体がある種の原初的なスピリチュアル感に収束。全体に、シリアスで濃密かつ美しい好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Trad&Folk/Irish&Sami&Melanesian Trad / Digi-Sleeve CD(2023) / Numero Disques/Stellar Music/France)