UK/EUのGFMレコードから、見開きデジスリーヴでのリリース。バード・イン・ザ・ベリーは、イースト・サセックス州ブライトンを拠点とするフォーク・コレクティブ・ユニットで、プロデューサー兼マルチ奏者のトム・プライアーが世話役となって、シンガー・ソング・ライターのベン・ウェッブ(aka.ジンウー)、ヒッコリー・シグナルスのローラ・ワードとアダム・ロンチェッティが集結して16年に結成されている。本作は、22年にリリースされたサード・アルバムで、メンバーは、前述のプライアー、ウェッブ、ローラ、ロンチェッティの4人編成を基本に、1曲でマリア・ヤネツのバック・ボーカルが入る。フォーク・コレクティブとは、マーティン・カーシーやシャーリー・コリンズ等による60年代フォーク・リバイバル運動が提唱した、『忘れられ、見落とされた英国の歌、物語、詩を発見して、現在のフォークミュージックの規範に再導入する』という程のコンセプトで、本作は19世紀の作家リチャード・ジェフリーズの終末小説「アフター・ロンドン; オア・ワイルド・イングランド」をモチーフに、メンバー達が曲を付けたとある。伝承歌や民謡といわれても違和感のない、非常にトラッド然とした淡々ともの悲しい曲調やメロディ、フレーズが多く、ハーモニー・コーラス・シンギングを軸としたシンプルながら的確なアンサンブルのハマりも上々。オーソードックスなローラとクセのあるウェッブの組み合わせは、それぞれのソロ・パートも無論よいが、ハーモニーの重なりがともかくも素晴らしいというか、重さや哀しさが美しさに収束するオーセンティック感十分のサウンド。前作同様に、滲み出るくぐもり感が心地好い大好盤と思う。
輸入盤
(Trad&Folk/British Trad,Acid Folk,SSW / Digi-Sleeve CD(2022) / GFM Records/UK,EU)