UKのプロパー・フィルムズからのリリース。カリーネ・ポルワートはスコットランドのバンクノック出身の女性シンガー・ソング・ライター(SSW)で、スティーヴ・バーン、マーク・ダンロップ等とともに98年にマリンキーを結成、2枚のアルバムをリリース後脱退し、03年にソロ活動に転じた。本作は、11年にリリースされたDVDで、ライヴ・シーンやプロモ用ヴィデオ・クリップに、ドキュメンタリー調の映像を交えた映像集。メンバーは、カリーネ、カリーネの従兄弟のスティーヴン・ポルワート、インゲ・トムソンの3人による演奏が中心で、曲によってキム・エドガー、シグニー・ヤコブスドッティル等の参加がある。この、カリーネ、スティーヴン、インゲを中心とした、ギター、アコーディオン、ダルシマ等に若干のマリンバやパーカス、3人のハーモニー・コーラスを適時交えたアコースティック・アンサンブルは、非常にシンプルかつ的確で、カリーネのくぐもり感十分のボーカルと絶妙のマッチングを見せる。映像で観ていると非常に雰囲気がよく、この3人の間には何かしら錬金術のようなものが生まれているように感じられ、その空気感がとても心地好い。概ねカリーネのオリジナルでトラッド・チューンはないが、哀愁の「ソーリー」を始めとして、浮遊感と木漏れ日感、トラッド的ダーク感がいい塩梅で同居する佳曲が多く、生演奏のリアルな緊張感も素晴らしい。モダン・フォーク調の聴きやすさを担保しつつ、『主役は曲で、自分達は前に出過ぎない』的なトラッド然とした佇まいを実践している印象で、淡々とした情感が胸に染み入る文句なしの好映像集と思う。NTSC/R0で、普通にDVDプレイヤーで観れる。90分
輸入盤
(Folk&Folk Rock/SSW,Folk,Folk Rock/ DVD(2011 NTSC/R0) / Proper Films/UK)