UKのグラヴィティ・ドリーム・ミュージックからのリリース。リトリート・フロム・モスクワはウェールズのカーディフ出身のグループで、ジョン・ハリスが中心となって79年に結成されている。80年にシングルを1枚リリース、アルバムを制作することなく81年に解散したが、18年に再編してファースト・アルバムとなる本作を22年にリリースした。メンバーは、ハリス、アンドリュー・レイモンド、トニー・ルイス、グレッグ・ハーヴァーの4人編成を基本に、1曲でストリングス・クアルテットがゲスト参加、クリント・マーフィーとバンドの共同プロデュース。概ね、シンフォニック・ハード・プログレ調サウンドを展開していて、メロディアスなシンフォ・プログレ的要素と、あまりブルース色が強くないプログレハード的要素が、わりといい塩梅のバランスで交叉。全員それなりにいい年と思うが、ボーカルも含めオッサン臭さは薄く、派手ではないが耳触りのよいメロディと楽曲、無理のない的を射たアレンジ、タイトで安定した演奏は、それなりに濃密でけっこうカッコいい。ミュディアム・テンポの曲が多く、イエスやジェネシス系統の正調プログレ的情感を基調としつつ、例えば「鬱」以降のピンク・フロイドのような、ソフィスティケイトされたブルージーさが全体に織り込まれていて、ある意味AORプログレ的ポップネスも感じられる。それなりに中音域が確保されたまろやかなキラキラ系のサウンドメイキングも、単なる懐メロ系オヤジ・バンドの再結成とは一線を画した仕上がりで、それなりのリハを重ねちゃんと練り上げられた末の力作と思う。キャッチーさを内包したハード・プログレ系愛好家は要チェックかも知れない。
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輸入盤
(Progressive/Symphonic,Hard,AOR / Jewel-case CD(2022) / Gravity Dream Music/UK)