国内のアルカンジェロから、限定ペーパースリーヴでのリリース。紙ジャケ仕様、歌詞掲載ブックレット入。静かの海は、新月の北山真と花本彰による新しいユニットで、本作は25年にリリースされたセカンド・アルバム。メンバーは、北山と花本を核に、前作に引き続きの大山曜(ex.アストゥーリアス,etc)、萩原和音、佐々木しげそ(ex.クライド,etc)、佐々木謙(aka.ケニー佐々木)、Lu7の梅垣ルナ、栗原務の他、矢壁アツノブ(ex.PINK,戸川純バンド,etc)、高田園子、村上あづみ、丸山佳織等々が曲によって適時ゲスト参加。前半の北山による「プログレッシヴ・ロック」パートと、後半の花本による「クラシック・ロック」パートの2部構成ということだが、概ね前作の延長線上というか、60,70年代のジェネシスやムーディー・ブルース方面のシンフォニック・プログレ感に、日本の70年代ニュー・ミュージック的情感を落とし込んだような感じのサウンドを展開。その意味では、新月からの『叙情性』もほぼそのまま担保されているといえなくもないが、オーボエやファゴット、クラリネット等の涼やかな響きが室内楽調の上品さを放っていて、メロトロンやハモンド・オルガン、シンセ等のビンテージ・キーボードのアナクロな響きとのミスマッチ感が、結果として味わいを生んでいて面白い。北山のボーカルは相変わらず弱々しいが、何というか上手くなっていて、花本のクラシカルなセンスのハマりも上々で、わりと存外に楽しめるジャパニーズ・プログレ系の好盤と思う。
アルカンジェロ盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Progressive/Symphonic / Paper-Sleeve CD(2025) / Arcangelo/Japan)