国内のナーラ・レコードから、限定ペーパースリーヴでのリリース。見開き紙ジャケ仕様、歌詞掲載ブックレット入。静かの海は、新月の北山真と花本彰による新しいユニットで、本作は19年にリリースされたファースト・アルバム。メンバーは、北山と花本を軸に、津田治彦、荻原和音、石畠弘、谷本朋翼、ミルキー・スウィート、村上常博、佐々木しげそ、佐々木謙、京極輝男、朝倉靖雄など、新月や新●月プロジェクト、ステラ・リー・ジョーンズ等々のメンバー達が曲によって適時参加、ミキシングはアストゥーリアスの大山曜、北山と花本、山口裕市の共同プロデュース。79年「新月」の40周年記念企画なのかは不明だが、北山と花本の40年振りのコラボレーション作品で、随所に新月的な情感メロディやシンフォニック調のアレンジを配置したサウンドを展開。その意味では、確かに新月の系譜の中という感じで、フォーク・ロック調の柔らかいメロディとメロトロン&キーボード群のしっとり感、エレキ・ギターやリズム隊の当世風ソリッド感が、いい塩梅のバランスで妙なマッチングを見せる。北山のボーカルは相変わらず下手ウマ的で弱々しい印象だが、「新月」に比べ演劇的過剰さが薄まって肩の力が抜けている感じで、文学的浮遊感が心地好く楽曲にハマっている。SFや幻想文学を隠し味的に使った歌詞も含め、全体にしつこくない形でくぐもった日本的情感が前面に顕れていて、ジャパニーズ・プログレ愛好家なら素直に楽しめる好盤と思う。
ナーラ・レコード盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Progressive/Symphonic / Paper-Sleeve CD(2019) / Nala Records/Japan)