国内の那由他計画から、見開き紙ジャケ仕様でのリリース。那由他計画は、元プロビデンスの塚田円が横浜/東京で新たに結成したグループで、本作は21年に自主制作盤としてリリースされたセカンド・アルバム。メンバーは、前作と同じ塚田、世良純子(ex.ALHAMBRA,etc)、月本美香(ex.浪漫座,etc)、和田俊寿(ex.Usopions,etc)、多良洋祐(ex.金属恵比須)、野口雅彦(ex.キクラテメンシス,Red & White,etc)の6人編成を基本に、曲によってミキ・オータケが適時ゲスト参加。概ね、前作「つみびとの記憶」のプロビデンス的80年代ジャパニーズ・プログレ感をある程度担保しつつも、曲によってはシティ・ポップ感を内包した80年代J・ポップ調のキャッチーさが加味されている印象。ありていに云えば歌謡曲感が増しているのだが、特に歌モノ的な1,2曲目は、その線の要素とプログレ的要素の煮えきらないマッチングが妙な味わいを生んでいて、ツイン女性ボーカルの各個性を楽しむにはいい感じかも知れない。17分強の3曲目は、一転して従来のプロビデンス路線の佳曲で、楽曲のベタなシンフォニック・プログレ感が演奏のハード感とフュージョン的テクニカル感に収束していて、ともかくもヘヴィ・シンフォ然とした重厚なサウンド。カルメン・マキ色とアニソン色が交叉するツイン女性ボーカルは、メロディ・ラインの難しさもあってか、時折ピッチが不安定だったり苦しそうだったりの部分もあるが、歌い上げる迫力と気概は十分。結果として全体のヴァリエーションが、塚田の言う通りの『変拍子なのにわかりやすいキメ、難解なのにキャッチーなメロディーを目指す』仕上がりになっている感じで、前作同様ジャパニーズ・プログレ系愛好家なら問題なく楽しめると思う。
那由他計画盤/国内プレス(Japanese-pressing CD)
(Progressive/Heavy Symphonic,City Pop / Paper-Sleeve CD(2020) / Nayutakeikaku/Japan)