大山曜本人のレーベルである、国内のアストゥーリアス・レーベルからのリリース。大山曜は東京都出身のマルチプレイヤー兼コンポーザーで、85年に新月の津田治彦主宰のフォノジェニック・スタジオでスタジオ・ミュージシャンとして活動を始め、88年にソロ・プロジェクトのアストゥーリアスを始動、マイク・オールドフィールド的プログレとして一定の支持を得た。90年代中盤以降は主にゲーム音楽等の仕事でアストゥーリアスは休止状態だったが、04年に「バード・アイ・ビュー」をリリースして復活、以後は従来の1人多重録音スタイルのアストゥーリアス、室内楽的編成のアコースティック・アストゥーリアス(アコアス)、バンド編成のエレクトリック・アストゥーリアス(エレアス)の3つのタイプを使い分けて活動している。本作は、11年にリリースされたエレアスのファースト・アルバムで、タイトルは「フラクタルズ」。メンバーは、大山曜、川越好博、テイ・セナ、平田聡、田辺清貴の5人編成で、川越とテイは大山と友にアコアスでも活動。エレアスとして、いわゆるバンド・サウンドを目指した作品なのだが、大山本人が言う『きっちりと構成されたメロディアスさとドラマティックな音楽性という、アストゥーリアスの根本的な方向性をふまえたサウンド』。全体に、70年代的ないわゆる往年のプログレ・テイスト全開の楽曲を、畳み掛ける濃密なアレンジと、フュージョン的洗練感覚、全員文句なしに上手いバカテクな演奏で展開していて、ジャパニーズ・プログレのエッセンス満載の重厚な1枚。バカテク&ヘヴィ・シンフォニック愛好家なら、かなり楽しめるのでは。
アストゥーリアス盤
(Progressive/Heavy Symphonic,Fusion / Jewel-case CD(2011) / Asturias/Japan)