ドイツ/EUのピルツから、22年新規リマスター&見開きデジスリーヴでのリシュー。ワレンシュタインは、デュッセルドルフ近郊のメンヘングラードバッハ出身のグループで、ユルゲン・ドラーゼが在籍していたアート・スクール学生バンドのブリツクリークを母体として、71年に結成されている。本作は、72年にドイツのピルツからリリースされたファースト・アルバムで、タイトルは前述の前身バンド名。メンバーは、ドラーゼ、ハラルド・グロスコフ、ビル・バローン、イェリー・ベルカースの4人編成で、バンドとディーター・ディークスの共同プロデュース。ドラーゼとグロスコフはメンヘングラードバッハ出身、バローンはアメリカ人、ベルカースはオランダ人という多国籍バンド。バンド名が30年戦争の高名なドイツ将軍の名前、タイトルが「電撃作戦」というゴツい風貌だが、概ねクラシック色とハード色をジャーマン・クラウトなB級センスで括った感じの、勢いのよいヘヴィ・シンフォニック系サウンドを展開。かなり流暢でクラシカルなドラーゼのキーボード群と、ブルージーでハード・ロック調のバローネのギターが、共に競い合って隙間を埋める感じで弾きまくっていて、ともかくもガチャガチャして元気のよい演奏という印象。ハードな演奏の中でガーっと鳴るメロトロンも面白く、ハード調のヘヴィネスとプログレ/クラシック調の抒情が、けっこう奇妙で独特のマッチングを見せる。ラウドさと繊細さのちぐはぐな同居も含め、ちょっとクセのあるヘヴィ・シンフォニック・プログレ系として味わい深い好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Heavy Symphonic,Hard / Digi-Sleeve CD(2022 Re-master) / Pilz,Breeza Music/German,EU)