ドイツのゴールデン・コア/XYZから、24年新規リマスターでリシュー。多分初CD化。トニックは、おそらくシュトゥットガルト近郊のギュンデルバッハ出身のグループで、80年に唯一のアルバム「ディス・ウェイ」をリリース後、ほぼ同じメンバーでニュー・ウェイヴ系バンドのティーフステン・プロヴィンスに転身した。本作は、80年にドイツのピーク・レコードからリリースされた唯一のアルバムで、オリジナルLPは知る人ぞ知るジャーマン・ロック系のレア・アイテム。メンバーは、アンドレアス・パスラック、ヨハネス・ヴェンツェリット、ローラント・シュミット、ウーヴェ・マルシェル、アンドレアス・ステルツァー、ミヒャエル・ドラスコヴィッシュ、ミヒャエル・ホッカーの7人編成を基本に、曲によってマンフレート・ロシュが適時ゲスト参加、ペーター・ガラットーニとバンドの共同プロデュース。概ね、ジェネシスとイエスを足して割ったようなシンフォニック・プログレ方面のサウンドを展開していて、場面転換の多い詰め込み型のアレンジとタイトで上手い演奏が交叉。例えばノヴァーリス辺りに近似する感じの、ベタでイモっぽさ内包のプログレ然としたメロディアスさと、70年代末期の新旧入り混じったセンス、アイデア過剰気味の目眩く展開の煮え切らなさの組み合わせが、結果としてある種の味わいを生んでいる印象。適時管楽器を交えたアンサンブルもソリッドで、案外日本のシンフォニック・プログレ系リスナーの琴線に触れるのではと思う。前述の通り、この後パスラック、シュミット、ドラスコヴィッシュ、ホッカーはティーフステン・プロヴィンスを結成。
輸入盤
(Progressive/Symphonic / Jewel-case CD(2024 Re-master) / Golden Core/XYZ/German)