ドイツのペイズリー・プレスから、20年新規リマスターでのリシュー。多分初CD化。ノーチラスは、おそらくチューリヒを拠点として活動していたグループで、クリスティアン・バウアーやディーター・ルフ、ラルフ・シュトゥッキ等が中心となって77年頃に結成されている。78年と80年に2枚のアルバムをリリースして、81年には解散したようだ。本作は、78年にスイスのトゥリカフォンからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、バウアー、シュトゥッキ、ウルス・レルヒ、ペーター・フィビヒの5人編成。概ね、クラシック色とサイケ色内包のヘヴィ・シンフォニック調サウンドを展開していて、例えばノヴァーリスとエロイの狭間を行くような印象。ギターには多少のハード・ロック・マナーも感じられるが、リフやフレーズにブルース色が薄く、リズム隊の基本的なノリも3連系のハード・ロック調ではない。そのギターのファズ感やオルガンを軸としたキーボードのサイケ感、クラシック色が見え隠れする楽曲と畳み掛ける系アレンジのプログレ感、前述の中途半端なハード感などなどが、結局煮え切らないままに交叉していて、全体がジャーマン・ロック然としたイモっぽさに収束。とはいえ、ギラギラ感のハマりがよい1曲目辺りは素直にカッコよく、ハーモニー・コーラスも交えた英詞ボーカルも含め、一貫して勢いが担保された演奏は悪くない。ノヴァーリスやエロイのプログレ感の他、初期ネクター的サイケ感、ジェーン的ハード感などが未整理のまま滲み出ているようなB級満点で、その線のジャーマン・シンフォニック・プログレ系としてわりと好盤かも知れない。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Heavy Symphonic,Classic,Psyche/ Jewel-case CD(2020 Re-master) / Paisley Press/German)