韓国のビッグ・ピンク・ミュージックから、17年新規リマスター&限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様で、インサート入、オビ付。サーカスは、スイス、フランス、ドイツの国境地帯にある商業都市バーゼル出身のグループで、フリッツ・ハウザー(ex.ブルー・モーション)が中心となって72年に結成されている。日本のプログレ巷の一部で『スイスのクリムゾン』などと持て囃されたこともあるので、ある程度知名度はあるかも知れない。本作は、76年にスイスZYT/ツィットグロッゲからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、ローランド・フライ、アンドレアス・グリーダー、マルコ・チェルレッティ、フリッツ・ハウザーの4人編成。ボーカル&6&12弦アコースティック・ギター、フルート、ベース&エレキ・ギター、ドラム&ヴィブラフォンというちょっと変わった編成のスタイルで、概ねダーク&ヘヴィ・シンフォニック・プログレと呼べるサウンドを展開。フリップ的歪みとサステインの効いたギターやダークな曲調、フルートの使い方など、確かにクリムゾン的要素も感じられるが、歌詞の内省感やコード展開、一捻りあるアレンジ、ダークネスとヘヴィネスの同居具合と楽曲の情感、全体の佇まいなどは、寧ろヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターやニドロログ辺りに近似する印象。さらに、クラシック的要素が加味されたアンサンブルが、このバンドの個性や特徴として顕れていて、ギターやフルート、ボーカルのくぐもった美しい響きと、意表を突く場面転換やダークな郷愁感が、硬質でシリアスな空気感の中で交叉する。ともかくも独特の味わいを放つ好盤と思う。
輸入盤/限定プレス
(Progressive/Heavy Symphonic,Classic / Paper-Sleeve CD(2017 Re-master) / Big Pink Music/Korea)