UKのゴンゾからのリシュー。本作は、89年1月に始まった再編サード・イアー・バンドの「バッド・ニュース、ベビィ!」ツアーから、89年1月11日にイタリアのサルザーナで行われたライヴ音源を収録したライヴ盤で、ミラノのアヴァン・ギャルド系自主レーベルADNから89年にカセットテープでリリースされていたもの。500本限定リリースということもあって近年では幻のレア・アイテム化していたようだが、今回めでたくCDリシューとなった。メンバーは、グレン・スウィニー、ミック・カーター、リン・ドブソン、アーシュラ・スミスの4人編成で、ドブソンは元ソフト・マシーン等々の管楽器奏者、アーシュラはセカンド「天地火水」時のチェロ奏者。15分程に拡大された「エジプト死者の書(「錬金術」収録)」で幕を開け、「サード・イアー・ラーガ」、「ライヴ・ゴースツ」、「魔女の踊り」と、再編後の定番または定番となるナンバーが並んでいて、チェロの代わりにドローンを担うカーターのギター&エフェクトも非常にハマりがよく、かなり初期3作の頃の雰囲気に近い印象。さりげなくグリッサンドを多用するスミスのヴァイオリンが秀逸で、時折語りを交えるドブソンのフルート&サックスの宙吊り感や、淡々としたスウィニーのパーカスも雰囲気十分。この全体が放つ古楽的ドローン感は、どこまでが決まっていてどこからがインプロなのかは判然としないが、お互いがお互いの隙間に入り込み合いながらカオス的状態を演出して、なおかつアンサンブルとして成立させるという、テリー・ライリーの「イン・C」的手法は見事で圧巻。「エジプト死者の書」での超然とした浮世離れ感や、「魔女の踊り」での異様な盛り上がりも含め、正しくサイケで文句なしの好ライヴ盤と思う。TESオビ・解説/人脈図付
輸入盤
(Psyche/Experimental,Drone,Progressive / Jewel-case CD(2015) / Gonzo Multimedia/UK)