UKのエソテリックから、未発表曲3曲とデモ・テイク2曲の未発表音源5曲(UKエクレクティック盤と同じ)をボーナスで加えての、10年新規リマスターでのリシュー。音質はクリアで迫力もあってよい。ハイ・タイドは、元ミスアンダストゥッドのトニー・ヒルが中心となって69年にロンドンで結成されたグループで、この後サード・イアー・バンド、ホークウインド等のサイモン・ハウスも在籍していた。バンドで全面的にバックを担当した、デニー・ジェラルドの「シニスター・モーニング」の他、2枚のアルバムをリリースして70年に一旦解散するが、70年代後半にヒルとハウスが中心となって再編したレコーディング音源や、70年前後の未発表音源などが、90年前後に発掘音源盤としてリリースされている。本作は、69年にUKリバティからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーはヒル、ハウス(ex.ジュディ・ダイブル,ホークローズ,etc)、ピーター・パヴリ(ex.マイケル・ムーアコック&ザ・ディープ・フィクス,etc)、ロジャー・ハッデンの4人編成、プロデュースはデンヴァー・ジェラルド、スリーヴ・デザインはポール・ホワイトヘッド。かなり特徴のある、つんのめるようなヒルのファズ・ギターと、ワウをかましたハウスのギコギコなヴァイオリン、引きずるような重いリズム隊が一体となって盛り上がる様は圧巻で、転がるうちにどんどん太っていく雪ダルマのような盛り上がり方は、非常にインパクトが強く素直にカッコいい。特に、ハミ出し感満点のギターはともかくも個性的で、ブルース、サイケ、ハード、プログレがゴタ混ぜになったサウンドは唯一無比の炸裂感があって、ヘヴィネス溢れる文句なしの好盤と思う。ボーナスも素直にカッコよかった。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Hard,Blues,Progressive / Jewel-case CD(2010 Re-master) / Esoteric/UK)